ソーシャルワーク実践における記録の役割について

国立神戸視力障害センター 指導課 水村 慎也・菊入昭・野口勝好・渕上正寛・山田哲史・成戸宏幸・原田敦史・渡邊純代・本田直子・西川浩一
松山学園松山福祉専門学校 牧野晶哲
東北福祉大学 漆山純一

 社会福祉援助技術過程(ソーシャルワーク)における記録の役割については、ワーカー自身の援助過程を省み、クライエントへの適切な援助を提供するための重要な構成要素とされてきた。今回はこの内容について再考し、実践における課題を抽出することで、情報共有を念頭とした記録体系のありかたについて検討した。

1.目的

 @ケース記録・関連書類の整理
 A専門職相互の情報共有
 B専門性の向上
 C情報公開へ向けた取り組み
 D評価資料としての蓄積

2.内容

(1)記録の意義について整理…岡村重夫、N・ティムズの著書をもとにして
 ・社会福祉的援助方法の進歩 ・専門的職業化(自己判断・解釈・具体的援助内容)
 ・スーパーバイズ ・ケース担当変更時の対応 ・調査研究
(2)種別…基本的援助体系を示す段階ごとの位置付けを確認
 ・ インテーク ・アセスメント ・プランニング ・インターベンション
 ・ モニタリング ・エバリュエーション
(3)記述様式の検討
 ・叙述体 ・要約体 ・説明体
(4)グループウェア(サイボウズAG)を導入し、課内システム手帳化
(5)生活訓練課程における個別訓練記録の電子化(訓練生別フォルダの作成)

3.結果

・ 訓練記録の電子化へ移行したことを契機に、ケース情報の効率的利用環境が整い、実践的ノウハウを活かす場が生起した。これらを通じ、通常業務における記録行為が援助過程要素の付随的なものから中核的な役割をもつことを再認識した。

4.今後の課題

・ 生活訓練課程における一貫した記録体系の確立。(訓練記録・ケース記録)
・ 理療教育課程のケース記録電子化について、有用性を検討。
・ クライエントに対する多角的アプローチの基盤資料として、情報の共有のみならず、専門職としての組織知形成を試みる。




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