国リハセンタ−における盲ろう入所者の概要について

更生訓練所 指導部 遠藤明宏・有馬早苗・小熊順子・菅野博也・丸山華子・松岡利男

1.はじめに

 当センタ−開設以来、これまでに入所した盲ろう者の概要について報告する。

2.対象と方法

 対象は昭和54年7月から平成14年4月までの間に入所した盲ろう者16名である。
 方法は性別、入所時年齢、障害原因・障害名、身体障害等級、学歴、職歴、入所期間、訓練課程・訓練科目、社会復帰状況、コミュニケ−ション手段のデ−タを整理し分析した。

3.結果

(1)性別では男性が14名、女性は2名でその比は概ね8対1で男性が多数であった。
(2)入所時年齢は最年少18歳、最年長48歳と幅広く平均年齢は29.6歳で、年代では18歳〜30歳までが10名で全体の62.5%を占め、他の6名(37.5%)は40歳台であった。
(3)視覚障害を原因別にみると、網膜色素変性症が12名で最も多く75%を占め、網膜絡膜萎縮、角膜潰瘍、先天性白子症、ベ−チェット病が各1名(6.2%)であった。聴覚障害原因では、両側感音性難聴が14名で全体の87.5%と多数で、混合性難聴が2名(12.5%)であった。
(4)身体障害等級では視覚障害は1・2級の重度が2名(12.5%)、聴覚障害は2級が15名(93.7%)で9割以上が重度で、弱視ろう者が大多数であった。
(5)学歴では高卒が15名で全体の93.7%を占め、その内聾学校が13名(81.2%)で、普通高校は2名(12.5%)と少数であった。
(6)職歴では職歴有りが10名(62.5%)で平均勤務年数は9.4年、職種は製造業、服装関係が各2名(12.5%)、木工、菓子製造、和文タイプ、衣服プレス職、地方公務員、左官見習いが各1名(6.2%)であった。職歴なしは6名(37.5%)で、内4名(25%)が新規学卒であった。
(7)入所期間は平均1年6ヶ月で、最短が3ヶ月、最長2年4ヶ月であった(理教課程1名は除く)。
(8)訓練課程・訓練科目について、生訓課程では5名が生活訓練を受け、職能訓練ではクリ−ニングが9名で最も多く、さをり織りは3名であった。一般リハ課程は職リハの職業訓練で一般事務科、塗装科、OA事務科に各1名が入所し、理教課程は1名であった。
(9)社会復帰状況では職業・職能訓練に至ったのは15名で、その内一般就労が7名(46.6%)、福祉的就労3名(20%)、家庭復帰2名(13.3%)、自営1名(6.6%)であった。
(10)コミュニケ−ション手段では、手話使用は14名で最も多く87.5%であった。視力低下に伴い触手話使用が3名(18.7%)で、点字の使用は1名(6.2%)であった。

4.まとめ

 当センタ−に入所した盲ろう者は男性が多数を占め、平均年齢は29.6歳で網膜色素変性症と両側感音性難聴が7割以上であり、ろうベ−スの弱視ろう者が当センタ−の特徴である。今後、盲ろう者のニ−ズにあったサ−ビスを関係機関・職員と連携を計りながら提供していきたい。




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