令和5年度(第32回)あん摩マッサージ指圧師、
はり師、きゅう師国家試験の結果について
自立支援局 理療教育・就労支援部 理療教育課
令和6年2月24日(土)、25日(日)に実施された第32回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師(以下「あはき師」という。)国家試験の合格発表が、3月26日(火)に行われましたので、その結果について報告いたします。
各国家試験の結果の詳細は、表1に示すとおりです。函館センター、所沢センター、神戸センター、福岡センターの各専門課程のあん摩マッサージ指圧師国家試験の現役受験者は、所沢センターの1名を除いて全員が合格し、合格率は93.3%です。所沢センターにのみ設置される高等課程から1名の受験があり、無事に合格することができました。
はり師国家試験の現役受験者の合格率は64.7%、きゅう師国家試験の合格率は70.6%となり、昨年度よりも自立支援局としての合格率をやや下げる結果となりました。
表1 試験結果(自立支援局 現役受験者)
あん摩マッサージ指圧師 | はり師 | きゅう師 | |||||||
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専門課程 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
(人) | (人) | (%) | (人) | (人) | (%) | (人) | (人) | (%) | |
所沢 | 6 | 5 | 83.3% | 7 | 5 | 71.4% | 7 | 5 | 71.4% |
函館 | 1 | 1 | 100.0% | 2 | 1 | 50.0% | 2 | 2 | 100.0% |
神戸 | 2 | 2 | 100.0% | 2 | 1 | 50.0% | 2 | 1 | 50.0% |
福岡 | 6 | 6 | 100.0% | 6 | 4 | 66.7% | 6 | 4 | 66.7% |
計 | 15 | 14 | 93.3% | 17 | 11 | 64.7% | 17 | 12 | 70.6% |
高等課程 所沢 |
1 | 1 | 100% | - | - |
<表2 参考:全国視覚障害者合格状況 (東洋療法研修試験財団 学校別合格状況より)
あん摩マッサージ指圧師 | はり師 | きゅう師 | |||||||
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受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
(人) | (人) | (%) | (人) | (人) | (%) | (人) | (人) | (%) | |
総数 | 204 | 128 | 62.7% | 164 | 88 | 53.7% | 161 | 90 | 55.9% |
現役 | 152 | 127 | 83.6% | 108 | 78 | 72.2% | 108 | 80 | 74.1% |
既卒 | 52 | 1 | 1.9% | 56 | 10 | 17.9% | 53 | 10 | 18.9% |
その背景として、前回に引き続き、今回の試験内容もやや難化傾向があり、全国の視覚障害者の現役受験者に限ってみても、前回の国家試験に比べて合格率が数ポイント、それぞれ低下している現状があります(表2参照)。
また、各表には示されていませんが、専門課程や高等課程を卒業(修了)した後に、再理療教育(独自事業)において数カ月の受験指導を受けて、国家試験に再挑戦する方もあります。このうち今回は、はり師及びきゅう師国家試験に、福岡センターから1名の合格者を出すことができました。
あはき師の資格を取得するためには、自立支援局で行われる就労移行支援(養成施設)において、3年(専門課程)または5年(高等課程)の学修を重ね、必要な知識・技能を修得し、毎年2月に行われるあはき師国家試験に合格することが必要となります。
各センターは、障害者総合支援法に基づく指定障害者支援施設というだけでなく、あはき師養成のための学校養成施設としての認定を受けて、あはき師資格の取得を支援して、視覚障害者の就労を実現しています。その支援内容は、資格取得だけでなく、長期的な就労支援の視点から、卒業後の就労に関わる相談や技能等に関する研修にまで及んでいます。
実際に就労移行支援(養成施設)を利用する方は、単に視覚障害だけでなく、様々な障害や困難等を併せて有することがあります。各センターでは、教官以外にも、ケースワーカー等の専門職が協働して、他では経験できない学修支援上あるいは日常生活上の様々な有益な配慮や支援を提供しています。
利用者の方は、パソコンだけでなく、身近にあるスマートフォンやタブレット、電子録音機器等を活用して、視力障害を補いながらそれぞれの学習方法を身に着けて、学修に活用しています。努力を重ねて、あはき師国家試験に合格した20歳代、30歳代の比較的若い世代が、自信を持って就労している姿に出会うことがあります。他方、50歳代、60歳代の利用者が学修に取り組んで、それまでの社会経験を再構築させながら、第二、第三の人生へと確実に職業転換を図っています。また、視覚障害以外にも他の難病や疾患を有しながら、健康管理に留意して学修を継続することが、患者さんへの支援をより現実的なものすることもあります。
時には、わずかに残る視力を3年間又は5年間という長期間の在籍中に完全に失う経験をする方もあります。その際は、使用する文字種別等の学習手段・方法の転換とともに、生活習慣の見直しから支援が求められます。その方にとって精神的に最も過酷な時期となりますが、心理的な支援には、同じく全盲である教官や同じ障害を持つ利用者相互のサポートが大きく貢献することも経験するところです。
こうした多様なニーズを有する利用者の皆さんが、あはき師国家試験に一人でも多く合格することを目指して、昨年度までにカリキュラムを含む学則や進級基準等の一部見直しを行って、必要な手続きを経て、令和6年度から適用しています。
さらに今後は、この数年間のあはき師国家試験の出題内容等を改めて検証の上、受験対策等の教育的支援のあり方を検討します。また、各センターが卒後研修会、卒後特別研修会等をとおして、必要な後支援の充実に取り組んで卒業生らの就労を継続的に支援して、一人でも多くの方の就労を実現し、また継続することができるよう支援して参ります。
(文責/教務統括官 太田浩之)