義肢装具の用語解説

1.補装具とは

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)において、「「補装具」とは、障害者等の身体機能を補完し、又は代替し、かつ、長期間にわたり継続して使用されるものその他の厚生労働省令で定める基準に該当するものとして、義肢、装具、車椅子その他の厚生労働大臣が定めるものをいう。」と定義されています。失われた身体部位や、損なわれた機能を代償したり補う為に給付される以下のものの総称です。

・視覚障害・・・視覚障害者安全つえ・義眼・眼鏡

・聴覚障害・・・補聴器

・肢体不自由・・・義肢、装具、姿勢保持装置、車椅子、電動車椅子、座位保持椅子、起立保持具、歩行器、頭部保持具、排便補助具、歩行補助つえ

・その他・・・重度障害者用意思伝達装置

なお、厚生労働省「補装具等の見直しに関する検討委員会」(平成17年6月)において、補装具の定義は次のように整理されています。

  1. 身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完、代替するもので、障害個別に対応して設計・加工されたもの。
  2. 身体に装着(装用)して日常生活又は就学・就労に用いるもので、同一製品を継続して使用するもの。
  3. 給付に際して専門的な知見(医師の判定書又は意見書)を要するもの。

補装具については、情報ひろばもご覧ください。

2.義肢と装具

義肢とは

「欠失した四肢の一部の形態又は機能を代償するために装着,使用する人工の手足。」(JIS用語)のことをいいます。腕(上肢)や脚(下肢)、を失った方が装着して、失われた外観や動きを取り戻すための器具機械であり、大きく分けて腕(上肢)を失った方が装着する「義手」と脚(下肢)を失った方が装着する「義足」に分けることができます。

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装具とは

「四肢・体幹の機能障害の軽減を目的として体表に装着して,機能を補助する器具。」(JIS用語)のことをいいます。腕(上肢)や脚(下肢)、胴体(体幹)の働きや動きに障害のある方が装着して、患部の保護、回復の補助、変形の防止、運動の補助などを目的として使用します。

3.特例補装具

身体障害者・児の障害の現症、生活環境その他真にやむを得ない事情により、告示に定められた補装具の種目に該当するものであって、定められた名称、型式、基本構造等によることができない補装具のことを特例補装具と言います。

障害者総合支援法では、「補装具の種目、購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準」(厚生労働省告示第528号)において、支給対象となる義肢装具の形式、工作法、部品、価格等の基準が設けられています。しかし、障害の状況によってはこの基準内で必要な義肢装具を製作することが難しい場合があります(例えば基準で認められていない部品を使用する必要がある場合など)。このような場合には、特例補装具の支給として申請をおこないます。
 
参考資料:特例補装具・判定困難事例集(2010.3)(PDF版)

4.完成用部品

 完成用部品とは、補装具費支給制度でスムーズな制度運用ができるよう、工学的試験評価と臨床的試験評価を行ない補装具評価検討会の審査を経て厚生労働省によりリスト化された部品です。完成用部品の定義は厚生労働省「第62回補装具評価検討会」(令和6年1月)において以下のように整理されています。

「補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準」に定められた義肢・装具・座位保持装置をオーダーメイドにより製作・完成させるための部品とし、レディメイド装具を含めない。

現在、国内外の多くのメーカーより義肢装具および姿勢保持装置の部品が開発されています。制度で定められたものだけでは補装具の製作が難しく、完成用部品として登録されていない部品の使用が不可欠である場合、特例補装具の支給として申請をします。
なお、完成用部品としてどのような部品があるかは、テクノエイド協会のホームページに完成用部品のデータベースがありますのでご参照ください(関連リンクのページよりアクセスしてください)。