障害って何だろう?ワクワク・ドキドキ施設体験
〜子ども体験デー開催〜

企画・情報部企画課

 12月3日〜9日は、障害者基本法に定められた障害者週間です。当センターではこの障害者週間に合わせ、センター近隣の小学生に障害への理解を深めていただくため、毎年、「国リハ子ども体験デー」を実施しています。今年度は11月25日、29日、12月2日、6日の4日間・4校の小学校(計381名)をお招きし、さまざまな障害に関する体験をしました。今回体験したのは、手話体験、筋電義手体験、電動車椅子体験、アイマスク体験、障害者スポーツ体験(車椅子)、障害者スポーツ体験(視覚障害)、障害者の防災体験の7項目です。各体験内容について、以下に詳しく記載します。

○手話体験
画像:手話体験の様子
 声をつかわずに教えてもらう!?生徒から戸惑いの声が多く上がりました。当センター学院手話通訳学科では、授業で声をつかいません。同じ方式で体験をしました。まず、前方のスクリーンに文字を映し出し、手話について○×クイズで学びます。続いて実践です。スクリーンに動物を映し、教官が対応する手話を表現する。それを真似することで、あっという間に、「ねずみ」「うさぎ」「犬」「馬」「人間」の手話を覚えました。最後には、覚えたての手話で楽しくゲームをすることもできました。帰り道では友達同士で手話を披露し合っていました。

○筋電義手体験
画像:筋電義手体験の様子
 義手は、不慮の事故や疾病によって手の切断を余儀なくされた方々が使用する用具ですが、そのうち「筋電義手」とは、筋肉が活動するときに発生する電位(筋活動電位)を利用して動かすものです。初めて見るリアルな義手が目の前にずらっと並び、生徒の目は釘づけ。生徒は順番に、筋電義手をつかってさまざまな柔らかさのボールをつかむ体験をしました。普段何気なく行っている動作も、義手で行うのは一苦労です。
 これとは別に、「装飾義手」と呼ばれる、手をかたどっただけの義手も並んでいました。「動かないのに誰がつかうの?」という生徒の質問に対し、研究所義肢装具技術研究部の義肢装具士は、偽物でも手があるだけで外出のとき視線が気にならなくなる場合があるし、何かを押さえておくこともできるので、何かと便利。中にはネイルをして楽しむ人もいる、とわかりやすく回答していました。

○電動車椅子体験
 研究所福祉機器開発部の所有する電動車椅子4台に乗ってみました。小型のものが1台と、大型のものが2台、それと、街中で高齢者の方がよく使用しているタイプのものが1台です。実際に乗ってみると、それぞれ乗り心地も操作感も違います。体験を担当した研究者が一番乗りやすかった車椅子はどれか聞いたとき、最も票を集めた車椅子は、一番価格が高い大型のもの。乗りやすい理由のヒントは、モーターがついているタイヤの位置にあるそうです。詳しくは実際に体験してみましょう!

○アイマスク体験
画像:アイマスク体験の様子
 2人1組になって、片方はアイマスクをし、もう片方は肘につかまらせ、センター内をぐるっと誘導するという体験です。自立支援局で視覚障害のある方に歩行訓練等を指導している専門職による指導のもと行いました。アイマスクをして歩いているとどこを歩いているかわかりませんが、誘導役が声掛けをすることで、自分がどこにいるのかわかります。また、誘導役が角を鋭角に曲がってしまうとぶつかるから、大回りして!という指示もありました。誘導役がペースを合わせることが重要ということが役割を交替してよくわかったと思います。

○障害者スポーツ体験(車椅子)
画像:障害者スポーツ体験の様子
 ウィルチェアラグビーの競技用車椅子をつかって体験しました。はじめは友達に押してもらって車椅子に慣れるところから始め、続いて1人で漕いでの前進、後進と、徐々に操作を高度にしていきます。たくさん操作をして車椅子の扱いにも慣れたころに、チーム対抗のリレーをしました。真剣なまなざしで、白熱した戦いを繰り広げていました。運動療法士の声掛けのもと、とても盛り上がって体験することができました。

○障害者スポーツ体験(視覚障害)
 視覚障害者スポーツである「ゴールボール」の体験をしました。ゴールボールは1チーム3人制で、プレーヤーは目の部分が黒く塗られたアイシェード(目隠し)を着けて競技します。中に鈴が入ったゴムボール(1.25kg)を相手ゴールに向かって投げ、相手ゴールラインをボールが通過すると得点です。
 体験ではまず、パスの練習をしました。パスの方向を見極めるには、相手の名前を大きな声で呼び、それに大きな返事をすることが必要です。ひととおりパスをしたら実際にゲームをやってみましたが、まっすぐ投げること、音を頼りにボールを阻止することに苦戦しているようでした。試合を邪魔しないように静かに、かつ大変盛り上がって体験していました。

○障害者の防災体験
 災害があったとき、どういう助け合いができるだろう?視覚障害のある方2名、知的障害のある方1名、車椅子使用の方2名の計5名の障害当事者をゲストに、班に分かれて話し合いを行いました。今回は「ゲストの先生は、災害時小学校に避難してきたら、小学校のトイレをつかえるか?」というテーマ。生徒はゲストの先生がどうして小学校のトイレをつかえないのか、どうしたらつかえるのかいろいろな知恵を出していました。視覚障害のあるゲストの先生からは、トイレのある場所まで誘導して便器の場所などを教えてもらえればトイレをつかえるというコメントがありました。一方、車椅子使用のゲストの先生は、バリアフリートイレでないと難しいと言っていました。また、暗闇は慣れているので、暗いところでみんなを助けられるという視覚障害のあるゲストの先生もいました。障害によって非常時に困ることが違うこと、またお互いに助け合うことができるということは、生徒にとって大きな気づきになったと思います。

 小学生のみなさんには、これを機会にぜひセンターを身近に感じていただき、また、今後、「障害」や「福祉」について興味を持っていただけたらと思っています。
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