発達障害支援施策の支援事業
                発達障害情報・支援センター

平成28年度からの新規事業として、「発達障害支援施策の支援事業」が予算化されました。事業の趣旨としては「自治体において効果的、効率的な発達障害支援施策が展開できるよう、専門家と連携を図りつつ、自治体に対して地域における支援体制構築に向けた指導、助言」を行うこととなっており、発達障害情報・支援センターが実施主体となっています。
 都道府県・政令指定都市には発達障害者支援センターが設置されており、発達障害児者の相談を受けたり、研修会の開催、市区町村・事業所・医療機関との連携など様々な普及・啓発・支援の活動を行っています。各自治体の支援センターが、関係施設・機関との連携を密接にし、発達障害児者支援に関わる総合的な支援のあり方を検討するために、それぞれ連絡協議会が設置されています。
 一方で発達障害者支援の体制整備に関する全体的な計画の検討は都道府県・政令指定都市が設置する「発達障害者支援地域協議会」が行うこととなっています。協議会は現時点で制度的に必置ではありませんが、発達障害者支援の推進には欠かすことのできない会議であると考えております。今年度の標記支援事業においては、この支援地域協議会が未設置である自治体を訪問して、発達障害者支援体制の実情や発達障害者支援センターの活動状況等をお聴きした上で支援地域協議会の必要性を説明しています。
 4月から5月にかけては各自治体における発達障害支援体制に関する情報の収集・分析をした後、訪問先を選定し6月から訪問を開始しました。7月末現在で3箇所の自治体に伺いましたので、その様子を紹介します。
 いずれも厚生労働省及び発達障害情報・支援センターからそれぞれ1名ないし2名で訪問しています。自治体からは発達障害者支援担当者及び関係者と発達障害者支援センターの職員も同席されています。ある県では県内をいくつかに分けた圏域毎に施策を展開していますが、進んでいる地域とそうでない地域があり、同県内でも温度差があるようでした。これから推進していこうという地域での体制整備については発達障害者支援センターを事業展開の中心に据えられているようでしたので、支援地域協議会を設置・活用していただきたい旨の意見交換を行いました。
 発達障害施策は実質1名で担当しており、その方も4月から全く関連のない部署から異動してきたという県もありました。本来、支援地域協議会で検討すべき事項を連絡協議会の議題に挙げるなどの実情を発達障害者支援センターから報告をいただき、やはり支援地域協議会の必要性について意見交換を行いました。また、担当者が異動しても体制が維持できるよう、支援計画を整えておくことの必要性も意見として出され、先進的な取り組みをしている自治体のプランなど、支援計画策定について参考になる資料や情報の提供も行ってきました。
 発達障害者支援の担当者として異動してきて、支援地域協議会が設置されていないことに疑問を持っていた方もいらっしゃいました。お話を伺うと、既に協議会の設置に向けて動いていらっしゃるとのことで、逆に「教えて欲しい」といくつかの質問が出されました。積極的な姿勢が感じられ、今後の動向を見守りたいと考えているところです。
 今年度は既に訪問した自治体を含めて9箇所は伺う予定にしています。それぞれの自治体ごとに特色がありますので、まずは地域の実情を把握し、発達障害者支援の体制整備に関してどのような応援ができるかを検討し、発達障害の方々の暮らしが向上するよう情報提供していきたいと考えています。



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