「アビリンピックに向けての活動」
障害者週間特別講演の開催

企画・情報部企画課

 去る、12月4日(金)当センター講堂において、障害者週間特別講演を開催しました。
 特別講演では中電ウイング株式会社 亀山保様、都築弘様に「アビリンピックに向けての活動」と題して、講演いただきました。
 アビリンピックとは、障害者技能競技大会の愛称になります。その目的は、
障害のある方々が、日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障害のある方々に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図ることです。
 アビリンピックには、地方アビリンピック、アビリンピック(全国障害者技能競技大会)、国際アビリンピックの3つがあります。
 地方アビリンピックの成績優秀等はアビリンピック(全国障害者技能競技大会)へ推薦されます。アビリンピック(全国障害者技能競技大会)は全国から選手が参加し、平成26年に開催された第35回大会では24競技に332名が参加しました。アビリンピックに参加した選手の中から国際アビリンピックに出場する選手が選考されます。
 今回講演いただいた亀山保様は「英文ワープロ」、都築弘様は「DTP」の競技で第9回国際アビリンピック(フランスボルドー大会)に派遣されることが決定しています。

講演内容の一部を紹介させていただきます。

【都築】
私は先天性両上肢欠損ですので、日常生活の動作は足を使って行います。よく、どうやって足の訓練をしたのかという質問をうけるのですが、私は「皆さんは、手を使うときどんな訓練をしましたか?」と聞いています。皆さんが手を使うときに特別な訓練をしないのと同様に自然と足を使っていました。
 生まれつきの障害ということもあって、今まで自分のことを障害者と思ったことはありません。
 業務はDTPデザイナーをしています。DTPとはデスクトップパブリッシングの略で、書籍・新聞などの編集に際して行う割り付けなどの作業をパソコン上で行い、プリンターで出力を行うことになります。
 アビリンピックへの参加は2010年に初めて地方アビリンピックに参加しました。参加するきっかけは、同僚の亀山さんに勧められたことです。
 当時愛知県のDTP競技は5名くらいしか参加者がいませんでしたが、金賞を取ることができました。そして同じ年の全国大会に参加しました。この全国大会では良い成績が取れず、なぜだめだったのかの理由もわからなかったので、もうやめようと思いました。しかし、1年後には再度挑戦している自分がいました。日々の業務を通じて技能が上達し、アビリンピック(全国大会)で金賞を取ることができました。
 2年後のアビリンピック(全国大会)に招待され、そこで技能が認められて国際アビリンピックの派遣選手となりました。 私がアビリンビックへ挑戦する理由は、自分自身が今まで「前例がないから」ということを言われてきた。そのような方に足でこれだけできることを知ってもらいたいからです。
 DTP競技はテーマ・写真・文字が与えられ、それを時間内にパソコンで編集し、出力します。
 国際アビリンピック大会でわかっていることは、A4三つ折りのパンフレット両面を6時間で作成するということです。英文DTPなので、一番の課題は英語になります。出題もオペレーションも英語になりますので、今英語を勉強しています。
 採点は、アイデア・独創性・完成度・DTPの技術的要素等により行われると聞いています。

【亀山】
 私は大学在学中にオートバイの自損事故により背骨を骨折し車椅子生活になりました。
 退院後、同じ病院で入院していた方の紹介で、車椅子バスケを始めました。
 車椅子バスケは私の視野を広げ、一つの起点となりました。
 まず行動範囲が広がりました。それまで、家の周りの移動だけでしたが、練習場所まで車で1〜2時間の移動や大阪や千葉までの遠征がありました。
 また、バスケのチームメイトはほとんどが仕事をしていました。その人たちと活動をすることで仕事をすることを意識するようになりました。
 そして、チームメイトから職業訓練校を紹介され、そこに入校し、CADを学びました。
 その後、高知で一度就職し、現在は愛知県の中電ウイング株式会社で一般事務(経理関係)・受発注・データ作成を行っています。
 高知で就業していた2000年に地方アビリンピックのワープロ競技に参加し、金賞を取ることができました。アビリンピックに参加するきっかけは自分にどれくらいの力があるか知りたかったからです。もともとワープロは得意ではなかったのですが、当時高知県で行われた競技はワープロと表計算しかなかったため、どちらかといえばワープロのほうができるかなと思い参加しました。
 同じ年の11月にアビリンピック(全国大会)で銅賞を取ることができました。自分でもよくできたなと思いました。
 愛知県に戻り、仕事にも慣れたので全国大会へ金賞を取りたいと思い、再び地方アビリンピックへ参加しました。2005年から2013年まで参加し、銀賞4回、銅賞3回で金賞は取れず、悔しい思いをしました。それでも、もう一度全国大会に出たいと思い、敗退した翌日から次の大会まで1年間毎日(1日最低でも20〜30分)練習をしました。そして翌年の地方アビリンピック(愛知県大会)で念願の金賞を取り、全国大会でも金賞を取ることができました。ワープロ競技で日本一になったことは非常にうれしかったです。
 この大会で技能が認められ、国際アビリンピックの派遣選手となりました。
 国内のワープロ競技は、決められた時間内に和文3枚、英文4枚の原稿と同じものを早く正確に作成するものです。ワードを使いこなせる技術があれば、だれでもできる競技です。
 国際アビリンピックで金賞が取れたらよいと思いますが、取れても取れなくても、今後は新たにアビリンピックへ挑戦する方を応援することを目標にしたいと思います。

 国際アビリンピックに向けてお忙しい中、ご講演いただいた亀山様、都築様にこの紙面をお借りして厚く御礼申し上げますと共に、ますますのご活躍を記念して障害者週間特別講演のご報告とさせていただきます。

画像:障害者週間記念式典の様子1
画像:障害者週間記念式典の様子2
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