平成27年度 第1回オープンキャンパス開催報告

学院事務室

 平成27年8月1日(土)に学院において「平成27年度第1回オープンキャンパス」を開催しました。
 当学院では、受験を希望される方、当学院に関心のある一般の方に、授業の内容紹介や在学生との対話を通して、学院についての理解を深めていただくため、毎年2回「オープンキャンパス」を開催しています。
 当日は暑い中、106名の方に参加いただき、中島学院長から「国立障害者リハビリテーションセンター学院の6学科は全てがわが国で初めて設置された学科であり、もっとも先駆的に授業を行うことを目的のひとつとしています。学科を設置するときには、社会のニーズに応えられるか手探りの状況ではじめます。しっかり運用し、社会が求めていることが証明できれば、法律をたてて国家資格となり一つの職業をつくりあげていく。従って、全国にたくさんある養成校のカリキュラムは全て学院で作り上げたものです。また、その業界における専門職を普及させる目的もあり、学費は安い価格におさえられている。そのような伝統に支えられていますので、就職希望者の就職率は100%です。」と挨拶を述べられた後、各担当から参加者全員に学院の概要、入学試験、学科の説明を行い、その後、参加者が希望する学科に分かれて、体験学習や各種相談及び在学生との交流を行いました。
 参加された皆さんには、それぞれの学科が目指すリハビリテーション専門職の業務内容や当学院の雰囲気等を体験していただきました。今回の経験を今後の進路の決定に役立てていただきますとともに友人、ご家族等にこの体験をお伝えいただければ幸いです。
 また、オープンキャンパスで行ったアンケート調査においては、61名の方から回答をいただきました。学院の概要では「分かりやすかった」、「各学科の説明が簡単にあって様々な分野に興味が持てた」等8割以上の方から高い評価をいただきました。しかし、一方で「スライドが早く追いつけなかった。もう少しゆっくりと話して頂きたかった」等のご指摘をいただいております。学科毎の体験・説明では「学生さんの説明が丁寧だった」、「体験がすごく楽しくて、良い経験ができた」、等約9割の方に満足していただきました。しかし、一方で「時間が少し足りなかった」等のご指摘をいただいております。学院を知ったきっかけは約7割の方が当学院ホームページと回答いただいています。入学試験は約6割の方が試験日数と試験時期について、現状の1次試験(筆記試験:1月中旬)と2次試験(小論文・面接:2月上旬)の各々1日実施を希望しています。また、試験実施曜日は平日(現状)と土曜日を希望される方が同数となり、各々約5割となっています。このアンケート結果から、ホームページをはじめとして、オープンキャンパス、入学試験等に関しての今回いただいた貴重なご意見を今後の改善に向けて参考にさせていただきます。ご協力有り難うございました。
 なお、第2回オープンキャンパスは平成27年11月14日(土)に開催予定です。
 以下に各学科の当日の様子を記載させていただきます。


・言語聴覚学科

 言語聴覚学科は現役2年生が主となって「交流コーナー」「体験コーナー」「相談コーナー」を設けました。1年生の「公開授業」も行いました。
 「交流コーナー」では、学科で用いているテキストや検査道具を並べ、実際に手にとって見られるようにしました。壁には学科の時間割や、在校生の出身地、出身学部、勉強時間、入試対策などをまとめたアンケート結果のほか、昨年の700件に及ぶ求人一覧をパネル展示しました。案内役の学生はこれらについて参加者に説明し、個別の質問にも丁寧に答えていました。さらに2年生が自主製作したDVDを上映し、その中で講義や実習、寮生活、イベント、飲み会などを(NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」風に)紹介しました.参加者からは学院生活が非常にリアルに感じられたという感想とともに、手の込んだ脚本・映像に驚きの声が上がっていました。
 「体験コーナー」には聴力検査の機械を実際に触ってみる"きこえはどれくらい"、音声の波形を測定する"発音を目で見てみよう"、発声が困難な方のための"意思伝達装置を試そう"、嚥下障害者用の"とろみ食を試してみよう"の4つを設け、2年生がこれまでに学んだ知識や技術を活用して、障害のメカニズムや検査・評価、装置について、わかりやすく解説しました。
 「相談コーナー」では相談員役の学生と教官が、参加者の個別相談に応じました。学院生活と費用,就職状況等について話し込む姿が多く見られました。
 「公開授業」は、1年生対象の実際の授業「失語症の言語治療」を参観してもらいました。主体的に考えながら授業を聞く学生達の真剣な雰囲気が伝わったと思います。
 学生の意匠をこらした展示は分かりやすく、手作りならではの暖かみと味わいがあり、受験希望者への精一杯の励ましの気持ちが表れていました。参加された方々は、言語聴覚士がどのような仕事であり、どんな勉強や適性が必要とされるのか、また、学院生活や受験準備はどのようなものかについて、多くの情報を持ち帰られたことと思います。言語聴覚学科の活気と熱、そして厳しさと優しさを直にわかっていただける良い機会となりました。

画像:相談コーナー
相談コーナー

・義肢装具学科

 今年度前期オープンキャンパスにおける義肢装具学科への参加者数は35名で、高校生から社会人まで幅広い年齢の方々に御参加いただきました。当日は学院生活や卒業後の進路といった学科の全般的な紹介の後、以下の各ブースに分かれ見学・体験をしていただきました。
 ① 装具製作のデモンストレーション見学
 ② 手指の採型体験
 ③ 模擬義足による歩行体験
 ④ 模擬義手の操作体験
 ⑤ 装具の装着体験
 ⑥ 3Dスキャナを使った手の撮影
 各ブースは、それぞれ興味のあるところに行って体験してもらうというオープン形式をとり、多くの方に全てのブースを体験していただくことができました。今回のオープンキャンパスは在校生の協力により、積極的に参加者の方にお声かけすることでスムーズな運営ができ、また学院生活や義肢装具士の仕事についての質問にも丁寧な応対をしてくれていました。
 今回のオープンキャンパスは上記の受験希望者に加え保護者の方が20名程参加されたため、受験希望者だけでなく保護者の方々に対してもあまりなじみのない義肢装具士養成校の情報提供の場として非常に有益であり、また当学科の教育内容の理解を深めてもらうよい機会になったと思います。

画像:手指の採型体験の様子
「手指の採型体験」の様子

・視覚障害学科

 今回のオープンキャンパスでは、事前登録された1名の方のほか、8名の方が他学科を見学された後で当学科のプログラムに参加されました。今回当学科で用意したプログラムは、
 ① 全盲体験によるクッキー作り
 ② 音声出力ソフトを使ったパソコンによる、ウェブの閲覧とワープロ操作
 ③ 求心性視野狭窄5度よる屋内廊下の困難さの体験と、同様の視野狭窄で白杖の有用性を感じる体験
 ④ 全盲体験による白杖歩行体験
 の4つでした。また、エレベーターホール周辺には学科紹介のビデオ、パネル、視覚障害者用の機器、用具を展示し、見学者に学科を知っていただくために大いに活用しました。
 クッキー作りは材料の計量、生地作り、成形までを行い、次の体験をしている間にオーブンで職員が焼きました。音声パソコンは、視覚を遮断しない状態で基礎的な操作体験をしていただき、最後に全盲でキー入力をする体験をしていただきました。視野狭窄の歩行体験では、最初に白杖を使わずに廊下の曲り角を見つけて曲る、廊下に置かれた障害物に身体をぶつけずに通過する、白杖を用いて障害物を避ける3つの課題をしていただき、次に白杖の簡単な使い方を紹介したのちに、全盲の状態で障害物を避けながら歩く課題をしていただきました。ちょっとした白杖の使い方が分かるだけで、安心感がもてることを体験していただけたようでした。最後まで参加された方が終わったときには17時30分を過ぎていましたが、時間が過ぎるのも忘れて熱心に参加課題に取り組んでいました。


白杖歩行体験

・手話通訳学科

 手話通訳学科では、学院まで直接足を運んで下さった方々に手話通訳学科を存分に体験していただくために、以下のプログラムを用意していました。
 ① 「ここでしか聞けない話が聞ける」学科説明
 ② 「言語とコミュニケーションの奥深さを再確認する」通訳基礎トレーニングの体験授業
 ③ 「ネイティブの教官が手話だけで指導する」手話実技の体験授業
 ④ 「在校生の本音が聞ける」学生との交流
 今回は、来年度入試から初めて「先行入試(社会人枠)」が導入されることもあってか、例年よりも年齢層が高めでした。①の学科説明では「入試問題に何が出るか以外の質問にはすべてお答えします(笑)」と質問をつのったところ、たくさんの質問が出て時間が足りなくなってしまい、②の体験授業が急遽中止となるというハプニングも。在校生によるフロア見学ツアーをはさんで③の体験授業。「ネイティブから直接学ぶ」「まるで留学しているような環境で学ぶ」という、当学科のめざすあり方を体感していただきました。そして、最後は④の在校生との交流の時間。学生たちが制作した学科紹介のビデオ作品やパネル展示も含め、学生たちのナマの声を聞くことで、学科の雰囲気をさらに明確につかんでいただけたものと思っています。

画像:手話実技の体験授業
手話実技の体験授業

・リハビリテーション体育学科

 当学科では4名の参加者を迎えて様々な体験企画を実施しました。
 その一つが、視覚に障害のある方の種目であるサウンドテーブルテニスを用いての模擬授業。ホワイトボードいっぱいに書かれた指導のポイントを見ながら、「リハビリテーション体育」の指導に必要なことを理解してもらいました。
 実際にアイマスクを着け、音を頼りに転がってくる球を把握することは難しかったようですが、少しずつ段階を踏みながら練習することで、最後には在校生と1対1の真剣勝負ができるようになりました。"できなかった"動きが"できる"へと変化する過程を実感してもらえたと思います。
 在校生との交流では、30分という時間が足りない位に話がはずんでいました。多くの質問がありましたが、在校生は事前に資料を準備して、参加者からの質問に対し丁寧に答えていました。
 短い時間での中で、体を動かすことの楽しさを創り出す当学科の雰囲気を感じていただけたと思います。

画像:模擬授業
模擬授業

・児童指導員科

 今回のオープンキャンパスでは、今年度から実施している発達障害を中心とした新カリキュラムについて紹介しました。在校生は、自分たちが作成した教材や遊びを実際に再現しながら、現在取り組んでいる療育実習の報告を行いました。
 今回、児童指導員科の教室には、発達障害をもつお子さんの親御さんやその関係者にもお立ち寄りいただきました。発達障害に関する情報が錯綜する中で、自分が勉強しなければという想いが十分伝わる方ばかりでした。発達障害に特化した養成カリキュラムはこれまで体系化されておらず、今回の新カリキュラムが唯一のものとなります。特色としては、@個別支援計画を立て、実行、評価のサイクルに携わり、特別研究(卒論)へと展開すること、A国リハで開催する知的・発達障害に関する研修会に全て参加し、最新情報に触れること、以上の2点があり、児童指導員科でしか学ぶことができない内容となっています。
 発達障害への支援は始まったばかりです。ご本人、ご家族に寄り添った支援ができる福祉専門職の養成を目指していきます。

画像:新カリキュラム説明
新カリキュラム説明




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