平成26年度 第1回オープンキャンパス開催報告

学院事務室

 平成26年7月26日(土)に学院養成棟及び義肢装具士養成棟において「平成26年度第1回オープンキャンパス」を開催しました。
 当学院では、受験を希望される方、当学院に関心のある一般の方に、授業の内容紹介や在学生との対話を通して、学院についての理解を深めていただくため、毎年2回「オープンキャンパス」を開催しています。
 当日は暑い中、125名の方に参加いただき、前半は参加者全員に学院の概要や入学試験の説明を行い、後半は参加者が希望する学科に分かれて、体験学習や各種相談及び在学生との交流を行いました。
 参加された皆さんには、それぞれの学科が目指すリハビリテーション専門職の業務内容や当学院の雰囲気等を体験していただきました。今回の経験を今後の進路の決定に役立てていただきますとともに友人、ご家族等にこの体験をお伝えいただければ幸いです。
 また、オープンキャンパスで行ったアンケート調査においては、77名の方からご回答をいただきました。学院の概要では「分かりやすい」、「様々な学部の説明が聞けて良かった」等9割以上の方から高い評価をいただきました。しかし、一方で「説明が早かった」等のご指摘をいただいております。学科毎の体験・説明では「学生からのサポートが親切」、「様々な体験が出来、説明も分かりやすかった」、「体験しないと分からないことがわかる」等9割以上の方に満足していただきました。しかし、一方で「混雑していて見にくい」等のご指摘をいただいております。オープンキャンパスの情報把握手段は9割以上の方が当学院ホームページと回答いただいています。このアンケート結果から、ホームページをはじめとして、オープンキャンパス、入学試験等に関しての今回いただいた貴重なご意見を今後の改善に向けて参考にさせていただきます。ご協力有り難うございました。
 なお、第2回オープンキャンパスは平成26年11月1日(土)に開催予定です。
 以下に各学科の当日の様子を記載させていただきます。

画像:受付の様子
受付の様子

・言語聴覚学科

 言語聴覚学科は、4階フロアと6階フロアに「公開授業」、「体験コーナー」、「交流コーナー」、学院生との「相談コーナー」を設けました。

 今年は前日中にほぼ設営を終えていたこともあり、余裕をもって参加者の方々をお迎えすることができました。意匠をこらした看板や説明のボードなどに手作りならではの暖かみと味わいがあり、後輩となる参加者の方々へ、学院生の先輩として精一杯の励ましの気持ちが伝わったことと思います。
 公開授業「失語症の言語治療」では、1年生への実際の授業を見学していただき、普段通りの真剣な授業風景を知っていただくとともに、検査の意味や失語症の症状について一緒に考えていただきました。「体験コーナー」では聴力検査の機械を実際に触ってみる"きこえはどれくらい"、音声の波形を測定する"発音を目で見てみよう"、発声が困難な方のための"意思伝達装置を試そう"、嚥下障害者用の"とろみ食を試してみよう"の4つが設けられ、前期臨床実習が終了したばかりの二年生がこれまでに学んだ知識や技術を発揮して、障害のメカニズムや検査・評価・装置などについて、わかりやすい解説をしてくれました。
 「交流コーナー」では言語聴覚学科で現在使用されているテキストや検査用具、カリキュラム表、学生の統計(出身地、睡眠時間、入試勉強法etc.)などや実際の求人票(昨年度600件超)なども展示されました。学生の自主製作DVDの上映もあり、講義・実習の様子、イベント、寮生活、飲み会(!)などが面白く、かつ楽しく紹介されていました。?「相談コーナー」では真剣に受験や学生生活、就職状況について二年生や教官と相談する参加者の姿が見られました。
 参加なさった方々には言語聴覚士がどのような仕事であり、必要とする勉強はどのようなものなのか、さらに、学院生活や受験準備について多くの疑問が解消した一日となったことでしょう。そして、言語聴覚学科の活気と熱、厳しさと、そして優しさを直に解っていただけた良い機会となったことと思います。

画像:意思伝達装置や声の記録のデモンストレーション
意思伝達装置や声の記録のデモンストレーション

・義肢装具学科

 義肢装具学科への参加者は52名で、高校生から社会人まで多くの方々に参加いただきました。当日の進行は学院生活や卒業後の進路といった学科の全般的な紹介に始まり、その後以下の各ブースに分かれ見学・体験していただきました。
 ① 装具製作のデモンストレーション見学
 ② 手指の採型
 ③ 模擬義足による歩行体験
 ④ 模擬義手の操作体験
 ⑤ 筋電の検出、装具装着体験

 各ブースはそれぞれ興味のあるところに行って体験してもらうというオープン形式をとりましたが、ほとんどの方がすべてのブースを体験していました。今回のオープンキャンパスは在校生全員の協力によって、参加者と在校生が交流しやすいように人員を配置することができ、学院生活について熱心に質問する参加者に対しても在校生が丁寧な応対をしていました。
 今回のオープンキャンパスは受験希望者に対する情報提供の場として非常に有益であり、また当学科の教育内容の理解を深めてもらうよい機会になったと思います。

画像:手指の採型コーナーの様子
「手指の採型コーナー」の様子

・視覚障害学科

 今回のオープンキャンパスでは、事前登録された2名の方の他、4名の方が参加されました。今回当学科で用意したプログラムは、
 ① 全盲体験によるクッキー作り
 ② 音声出力ソフトを使ったパソコンによる、ウェブの閲覧とワープロ操作
 ③ 求心性視野狭窄5度による屋内廊下の困難さの体験と、同様の視野狭窄で白杖の有用性を感じる体験
 ④ 学生との懇談
 の4つで、①〜③では当学科で行っており、職場の訓練に直結する演習の体験をしていただき、④および3階フロアの展示によって、学科全体の概要を紹介しました。
 クッキー作りは材料の計量、生地作り、成形までを行い、次の体験をしている間にオーブンで職員が焼きました。音声パソコンは、視覚を遮断しない状態で基礎的な操作体験をしていただき、最後に全盲でキー入力をする体験をしていただきました。視野狭窄の歩行体験では、最初に白杖を使わずに廊下の曲り角を見つけて曲る、廊下に置かれた障害物に身体をぶつけずに通過する、階段を上り下りする3つの課題をしていただき、次に白杖の簡単な使い方を紹介した後に同じ課題をしていただきました。ちょっとした白杖の使い方が分かるだけで、安心感がもてることを体験していただけたようでした。学生との懇談の場では熱心に様々な質問を交え、17時過ぎまで学生との懇談が続いていました。


全盲体験によるクッキー作り

・手話通訳学科

 手話通訳学科では、学院まで直接足を運んで下さった方々に手話通訳学科を存分に体験していただくために、以下のプログラムを用意しました。
 ① 「ここでしか聞けない話が聞ける」学科説明
 ② 「ネイティブの教官が手話だけで指導する」手話実技の体験授業
 ③ 「言語とコミュニケーションの奥深さを再確認する」通訳基礎トレーニングの体験授業
 ④ 「在校生の本音が聞ける」学生との交流
 今回は参加者の男性の比率が高かったこともあり、①ではクラスの男女比や年齢構成に関する質問が多く出ました。②はネイティブから直接学ぶ、まるで留学しているような環境で学ぶという、当学科のめざすあり方を実感していただく時間です。実際に入学された場合の初日の授業を想定した体験授業によって、十分に感じとっていただけたと思います。そしてもうひとつの体験授業が③。通訳に求められるのは言語をめぐる総合的な力です。だれしも新しい言語との出会いには喜びがあるもの。でも、母語の力を見つめ直すのは苦しい作業かもしれません。そのような側面も味わっていただきました。そして、最後は④の在校生との時間。やはりここでしか聞けないのは学生たちのナマの声です。学生たちが制作した学科紹介のビデオ作品やパネル展示も含めて、学科の雰囲気を肌で感じていただけたのではないでしょうか。

画像:手話実技の体験授業
手話実技の体験授業

・リハビリテーション体育学科

 リハビリテーション体育学科の参加者は2名でした。
スポーツ体験では、視覚に障害のある方の種目であるサウンドテーブルテニスを行いました。卓球台の確認、音への反応、転がってくる球の把握、ラケットに当てる、打ち返すといったステップを繰り返し行うことで"できなかった"動きが"できる"へと変化していきました。一味違う卓球ですが、音を頼りに行うスポーツの楽しさを実感してもらえたと思います。
他にもトレッドミル(回転しているベルトの上で歩行・走行ができる装置)を用いた車いす走行や電動車いすでのスラロームにも挑戦していただきました。普段と異なる移動手段を操作することの難しさを肌で感じつつも、コツをつかんで思い通りに操作できると笑顔がこぼれていました。
また、在校生との交流の場面では、近い年代ということもあってか気軽に質問が投げかけられ、30分という時間が足りない位に話がはずんでいました。
短い時間ではありましたが、スポーツを手段として楽しさを創り出している当学科の雰囲気を感じていただけたと思います。

画像:サウンドテーブルテニスでミニゲーム
サウンドテーブルテニスでミニゲーム

・児童指導員科

 児童指導員科では、カリキュラムの内容や知的障害・発達障害、児童福祉に関する説明、学習障害(LD)の類似体験、在学生による学生生活などを紹介しました。事前にお申込みいただいた2名と当日参加者からは、学生生活に関する素朴な質問から児童福祉や発達障害に関する専門的な質問まで様々でした。
 児童指導員科の養成期間は1年間であり、知的障害及び発達障害分野における福祉職の養成を行います。学院児童指導員科の前身は国立秩父学園附属保護指導職員養成所であり、来年度入学生は学院児童指導員科第4期生であり、養成所から数えると第52期生となります。これまでの卒業生は1,297名となり、出身地は全都道府県(関東出身者が半数)に及びます。
 発達障害については、ますますその対応の難しさが取り沙汰されるようになりました。
現在、児童指導員科ではカリキュラムの見直しを進めているところですが、発達障害と不登校、虐待など、福祉職としてどのように考え、対応するかを学んでいきます。

画像:学習障害(LD)の類似体験
学習障害(LD)の類似体験




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