障害者の災害対策シンポジウム〜被災地から学ぶこれからの備え〜開催報告
                研究所 福祉機器開発部 硯川 潤

 2014年2月16日(日)に、障害者の災害対策を考える首記シンポジウムが開催されました。前日はあいにくの大雪で、当日も写真のとおりかなりの積雪が残る中、100名を超える参加者にお集まりいただきました。

写真:雪に覆われたセンター 写真1:雪に覆われたセンター

 シンポジウムは、2011年3月11日の東日本大震災で実際に被災・避難された障害当事者および障害者支援を経験された方々をお招きした講演と、その後のパネルディスカッションの2部構成で、休憩時間には障害者の災害対策に関連した機器展示も実施されました。講演ゲストと演題名は以下のとおりです。
・今村 登 氏 (東北関東大震災障害者救援本部広報担当,STEPえどがわ 事務局長)
 「東日本大震災と障害者 後方支援の現場から」
 ・小山 貴 氏 (JDFいわて支援センター 事務局長)
 「岩手での被災障害者支援」
 ・鈴木 絹江 氏 (NPO法人ケアステーションゆうとぴあ 理事長)
 「福島広域避難の体験から」
 ・青田 由幸 氏 (デイさぽーとぴーなっつ 理事)
 「南相馬市の障がい者支援と個人情報開示」
写真:シンポジウム会場と講演の様子 写真2:シンポジウム会場と講演の様子

 今村氏からは、自立生活センターのネットワークなどを生かした支援活動について、小山氏、青田氏からは被災地(岩手県、福島県)での障害者支援の実際について、そして車椅子ユーザの鈴木氏からは、福島県田村市から京都への避難経験に基づく体験談を、それぞれお話いただきました。いずれのお話も、震災を実際に体験された方ならではのリアルさに満ちており、障害者が被災することの厳しさを考えさせられました。なお、鈴木氏は京都から雪の中24時間以上かけて車でお越しいただくなど、講演ゲストの皆様には悪天候にもかかわらず遠方からご来場いただいたことを感謝申し上げます。
 後半のパネルディスカッションでは、「障害者がつくるこれからの災害対策」と題して、国リハの研究者と、国リハ研究所が主催している「排泄問題ワークショップ」のメンバーが加わり、講演ゲストにお話いただいた被災地の実情を踏まえて、今後どのような対策が必要になるのかを議論しました。移動・トイレ・ヘルパーといった障害者特有の問題から、日常的な支援コミュニティの形成の重要性や、共助・公助の役割など、幅広い視点からの議論が繰り広げられました。
 本シンポジウムの詳細は、下記のウェブサイトでも公開予定ですので、併せてご覧ください。なお、本シンポジウムは、厚生労働科学研究費補助金(障害対策総合研究事業)研究課題:「福祉機器の利活用と開発を促進するための社会技術基盤の創成」(研究代表者:諏訪基)によって運営されました。

シンポジウムHP:http://www.rehab.go.jp/ri/kaihatsu/haisetsu_ws_2013/saigai_sympo.html



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