平成25年度 国リハ子ども体験デーを開催しました
                企画・情報部企画課

当センターでは、障害者週間のイベントの一つとして国立障害者リハビリテーションセンター子ども体験デーを平成22年から実施し、今回で4回目となりました。
 今年度は、平成25年12月3日(火)に伸栄小学校5年生88名が国立障害者リハビリテーションセンターの子ども体験デーに参加されましたので、報告いたします。
 今回体験したのはアイマスク体験、障害者スポーツ体験、車椅子体験の3項目です。

1 アイマスク体験
アイマスクを着けて歩行をしてもらいました。アイマスクを着けると全く見えませんので、歩行することは容易ではありません。
 そこで、次に白杖を使用した歩行を行いました。白杖を使用すると白杖が届く範囲に障害物があるかどうかがわかります。少し歩行しやすくなりますが、それでもまっすぐ歩行することは容易ではありません。
写真:アイマスク体験アイマスク体験
 次に、友達同士で誘導を行いました。友達の誘導を頼りに何とか歩行することができました。
 視覚に頼らずに歩行することの困難さについて体験いただけたと思います。
 最後に「曲がるときの誘導の仕方」や「階段での誘導の仕方」について質問があり、熱心に聞いている子どもたちが印象的でした。

2 障害者スポーツ体験
今回体験していただいたのは視覚障害者のスポーツであるゴールボールです。2012年のロンドンパラリンピックで日本女子代表が金メダルを獲得した競技としてご記憶の方も多いかと思います。
 この競技は1チーム3人が黒く塗られたアイシェード(目隠し)を着け、中に鈴が入ったゴムボール(1.25kg)を相手ゴールに向かって投げ、相手ゴールラインをボールが通過すると得点になります。そのため守備ではボールの鈴の音を頼りに相手の攻撃を阻止します。コートのラインには手で触るとラインがわかるようにたこ糸の上にラインをひいています。これで方向と位置を知ることができます。
写真:障害者スポーツ体験障害者スポーツ体験
 ゲームではまず、味方の位置を確認し、パスをします。味方の位置を把握し、正確に投げないとパスはつながりません。パスを受け取った選手はコートのラインを触り、相手ゴールの方向を確認し、相手ゴールに向かってボールを投げます。ボールは鈴の音を鳴らしながらゴールに向かいます。守備側の選手は耳を澄まし集中します。そしてボールが来たら、飛びついてキャッチします。最初はなかなかうまくできませんが、慣れてくると非常に盛り上がっていました。

3 車椅子体験
これは、当センター研究所のワークショップ(車椅子ユーザー)の皆さんが小学生に体験してもらいたいプログラムを実際に企画していただき、小学生への説明もしていただきました。
①電動車椅子体験
 電動車椅子の操作を体験してもらうため、スラロームコースを走ってもらいました。電動車椅子は肢体不自由な方が使用するため、少ない操作で移動することができます。しかし狭い幅での切り返しやバック走行はなかなか難しいです。
車椅子ユーザーさんの見本走行には歓声があがっていました。
②車への乗降および車椅子用自動車の見学
 車椅子ユーザーの方が自動車に乗り降りすることは容易なことではありません。また、自動車自体もその障害に合わせて改造してあります。車椅子ユーザーの多くは足が動きませんので、アクセルが手で動かせるようになっています。握力が弱い方には補助具で手首とハンドルを接続したりします。今回は自動車への乗り降りと自動車の設備を見学していただきました。
③エレベーターへの乗車・下車の見学
  車椅子ユーザーにとって便利な設備であるエレベーター。しかし、すべての車椅子ユーザーが快適に利用できるわけではありません。エレベーターを呼ぶボタン。位置によってはこのボタンを押すことが困難な方がいらっしゃいます。また、エレベーター自体についてもその形状によっては狭くて回転が困難な場合や、ボタンが押しづらい場合があります。そのような場合車椅子ユーザーはどうするか。それは周りにいる人に声をかけて手伝ってもらいます。今回はそのような体験をしていただきました。
④段差解消体験
 段差がある場所を車椅子でどう通行するか。車椅子ユーザーのアドバイスを受けながら、実際に通行してもらいました。
写真:段差解消体験段差解消体験
 今回あった段差は二つ。一つは地面のくぼみ、もう一つは入り口のドアの段差です。くぼみは板をはめ込み地面との差を解消しました。ドアの段差は板でスロープをつくり、段差を解消しました。このように、歩いているときにはあまり段差と認識していない場所でも車椅子には障害になることを体験していただきました。
⑤勾配スロープ体験
  車椅子ユーザーに車椅子の操作方法を習いながら勾配スロープの体験をしていただきました。歩いているときにはあまり気にしない坂でも車椅子で登ると大変です。前傾姿勢になり、力強くこぎます。逆に下り坂ではスピードが付いてしまうため、手でブレーキをかけながら、慎重に下ります。
 最後に急勾配の登りにチャレンジ。必死で登っていきました。
⑥手首固定の麺食体験
 手首を固定する補助具を使用し、しらたきを口のところまで運ぶ体験をしていただきました。
写真:麺食体験麺食体験
まず、車椅子ユーザーからけがをして訓練するまで、一人で食事をすることができなかったこと。一人で食事をすることができるようになったとき、うれしかたことなどのお話を聞きながら、体験をしました。 しらたきはすべりやすく集中しないとすぐにすべて落ちてしまいます。車椅子ユーザーの中にはこのように一生懸命食事をしている方がいることを体験していただきました。
 最初は不思議そうに話を聞いていましたが、最後にはうまくすくえるようになっていました。

 体験終了後、先生方から「貴重な体験の中から障害についての理解を深めることができたようです。」とのお言葉を頂きました。
 今回初めて障害当事者の方々との交流という形での体験を行い、無事国立障害者リハビリテーションセンター子ども体験デーを終了することができました。
 今後も「共生」を目標に啓発活動を行っていきたいと思います。

○ 障害者週間
 障害者基本法第9条には、『国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。』と記載されており、12月3日から9日までの1週間は障害者週間とされています。



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