平成25年度 第1回オープンキャンパス開催報告

学院事務室

 平成25年7月27日(土)に学院養成棟及び義肢装具士養成棟において「平成25年度第1回オープンキャンパス」を開催しました。
 当学院では、受験を希望される皆さんに、授業の内容紹介や在学生との対話を通して、学院についての理解を深めていただくため、毎年2回「オープンキャンパス」を開催しています。
 当日は暑い中、135名の方に参加していただき、前半は参加者全員を対象に学院の概要や入試及び各学科についての説明を行い、後半は各学科に分かれて、体験学習や各種相談及び在学生との交流を行いました。
 参加された皆さんには、それぞれの学科が目指すリハビリテーション専門職の業務内容や当学院の雰囲気等を体験していただいたわけですが、来年度の進学を検討する際にこの体験を役立てていただければ幸いです。
 なお、第2回オープンキャンパスは平成25年11月2日(土)に開催予定です。
 以下に各学科ごとの当日の様子を記載させていただきます。


受付の様子

・言語聴覚学科

 言語聴覚学科では75名の参加者を迎え、4階フロアで「公開授業」、「体験コーナー」、「交流コーナー」、6階フロアで学院生との「相談コーナー」が設けられました。
 公開授業「失語症の言語治療」では、実際に検査用具を使って方法を学ぶ学生に交じり、参加者も熱心に、検査の項目ひとつひとつの意味を考える姿が見られました。
 「体験コーナー」では聴力検査の機械を実際に触ってみる"きこえはどれくらい"、音声の波形を調べる"発音を目で見てみよう"、発声が困難な方のための"意思伝達装置を試そう"、嚥下障害者用の"とろみ食を試してみよう"の4つが設けられ、二年生がこれまでに学んだ知識や実習で培った技術を発揮し、障害のメカニズムや検査・評価・装置などについて、わかりやすく解説をし、参加者の知的好奇心に応えていました。
 「交流コーナー」には言語聴覚学科で使用されているテキストや検査用具、カリキュラム表、学生の統計(出身地、睡眠時間、入試勉強法etc.)などの展示や、学生の自主製作DVDが上映されました。DVD映像では和やかな講義・実習の様子、楽しい寮生活などが賑やかなBGMと共に紹介されていました。
 6階の「相談コーナー」では真剣に受験や学生生活、就職状況について二年生と相談する参加者が多く、順番待ちも出るほどでした。
 学院の言語聴覚学科を目指す方にとっては、仕事や学院生活、受験準備について疑問がすべて解消した一日となったことでしょう。4階の正面にあった看板「ST学科へようこそ」のSとTに誰が書いたか「すばらしく」「たのくるしい」とルビが振ってあったことに気づかれた参加者は少なかったかもしれませんが、まさしく、「すばらしく」、また「たのくるしい(!)」わが言語聴覚学科の学院生活を参加者の皆さんに実感して頂けた一日となったと思います。


意思伝達装置や声の記録のデモンストレーション

・義肢装具学科

 義肢装具学科への参加者は37名で、高校生から社会人まで多くの方々に当学科の教育内 容を知っていただくことができました。
 学院生活や卒業後の進路などについて説明した後、当学科の授業内容の実演として
 ① 装具製作のデモンストレーション
 ② 手指の採型
 ③ 模擬義足による歩行体験
 ④ 模擬義手の操作体験
 ⑤ 歩行中の足底圧計測
という5つのコーナーを設け、各コーナーを自由に見学していただくオープン形式としました。今回のオープンキャンパスは在校生全員の協力によって、参加者と在校生が交流しやすいように人員を配置することができ、学院生活について熱心に質問する参加者に対しても在校生が丁寧な応対をしていました。
 オープンキャンパスに関するアンケートでも当学科の教育内容と学院生活を御理解いた だけたという評価をいただけました。


「手指の採型コーナー」の様子

・視覚障害学科

 今回のオープンキャンパスでは、学科別のプログラムが始まった14時の時点で、5名の方 が当学科のプログラムに参加されました。
 今回当学科で用意したプログラムは、
 ① 全盲体験によるクッキー作り
 ② 音声出力ソフトを使ったパソコンによる、ウェブの閲覧とワープロ操作
 ③ 全盲状態の白杖歩行による障害物回避の体験、求心性視野狭窄3度で屋内廊下を移動する体験、同様の視野狭窄で白杖を使い階段を上り下りする体験
 ④ 学生との懇談
 の4つです。
 5名の方には3階フロアへ到着後、すぐに体験コーナーへ移動していただきました。3名の 方にはクッキー作り会場、2名の方には音声パソコン会場です。クッキー作りは材料の計量、生地作り、成形までを行い、次の体験をしている間にオーブンで職員が焼きました。音声パソコンは、視覚を遮断しない状態で基礎的な操作体験をしていただき、最後に全盲でキー入力をする体験をしていただきました。歩行体験では、短い時間で白杖の使い方を体験していただきましたが、障害物が確認できるので身体をぶつけないこと、階段の始まりと終わりの確認をできることから、白杖があると安心感が高まることを感じていただけたようでした。
 15時30分過ぎ頃から、他学科の見学を終えた方々も6名参加してくださり、一通り同様の プログラムに熱心に参加してくださいました。最後の懇談は、皆さんが自ら作ったクッキーが焼きあがってくることもあり、そのクッキーを楽しみながら、在学生に様々な質問を投げかけていました。最後の方が帰られたのは、18時30分でした。


全盲体験によるクッキー作り

・手話通訳学科

 手話通訳学科へは14名の参加がありました。
 手話通訳学科では、学院まで直接足を運んで下さった方々に手話通訳学科を存分に体験していただくために、以下のプログラムを用意しました。
 ① 「ここでしか聞けない話が聞ける」学科説明
 ② 「ネイティブの教官が手話だけで指導する」手話実技の体験授業
 ③ 「言語とコミュニケーションの奥深さを再確認する」通訳基礎トレーニングの体験授業
 ④ 「在校生の本音が聞ける」学生との交流
 このうち(2)の手話実技の体験授業では、参加者の名前、性別、服の色や柄、人数などをテーマに、基本的な質問とそれに対する応答の表現を導入し、実際に手話のみのコミュニケーションを体験してもらいました。体験授業の開始直後には緊張感がはりつめていた教室も、まもなく笑顔と笑い声があふれ、一気になごやかな雰囲気に。それでも、特に手話の学習経験がまったくない方々にとって、日本語禁止の無音の環境で自分の伝えたいことが伝わるという体験は、わずか30分程度とはいえ、エキサイティングな体験だったのではないでしょうか。
 最後の在校生との交流も、大幅に時間を超過するほど、大いに盛り上がっていたようで す。今回のオープンキャンパスに参加していただいた方々には、手話通訳学科の雰囲気を 肌で感じていただけたのではないかと思います。


手話実技の体験授業

・リハビリテーション体育学科

 リハビリテーション体育学科では2名の参加者を迎え、ただ楽しいだけでなく、その人の体力や習得すべき動きを理解したうえでプログラムを提供する「リハビリテーション体育」を知ってもらえるよう、当学科では「調べる」「創る」「操る」をテーマとした内容を実施しました。「調べる」では、障害のある人の体力を測定するにはどのような方法があるのかを様々な機器を使って紹介し、「創る」では、指導する上で必要となる障害特性の理解とルールの工夫について説明をし、ミニゲームを行いました。「操る」では、スポーツ用車いすの体験に加え、生活にも活用できる車いす操作を習得してもらいました。
 様々な体験の場面で、参加者は慣れない動きのために最初は悪戦苦闘していましたが、一つ一つの課題をクリアしながらできなかったW動きができるWへと変化することで楽しさが引き出せることを実感できると、積極的に何度も挑戦する姿が見られました。
 今回、在校生との交流の場に卒業生にも参加してもらいました。和やかながらも多くの質問が投げかけられ、参加者には実際の学院生活の雰囲気を感じ取るだけでなく、卒業後の社会での活躍を想像できる機会になったと思います。また在校生にとっても、自分達が学んでいることや将来についての思いなどが再確認できた一日でした。


車いすのキャスター上げ体験

・児童指導員科

 児童指導員科では、運営準備室を児童指導員科教室(仮設)として設営し、カリキュラムの内容や知的障害・発達障害、児童福祉に関する説明、学習障害(LD)の類似体験、在学生による学生生活などを紹介しました。事前にお申込みいただいた5名と当日参加者からは、学生生活に関する素朴な質問から児童福祉や発達障害に関する専門的な質問まで様様でした。
 知的障害や発達障害については、その原因や症状が明らかではない部分が多く、「目に見えにくい障害」「周囲に理解されにくい障害」とも言われます。また、コミュニケーションにおいても、自分の思いを相手に伝えたり、反対に相手の思いを理解することが難しい場合もあります。児童指導員科の修業年限は1年ですが、まだその半分も経過していない在学生がその充実し過ぎる日々を参加者に語り、参加者からは将来の自分像を語る時間となりました。
  「自己選択」や「自己決定」が難しい障害であるにもかかわらず、「やる気がない」あるいは「親のしつけが悪い」とされることがあります。「できない」と烙印を押すのではなく、「どうしたらできるか」を考える人材を児童指導員科では養成していきます。


学習障害(LD)の類似体験