平成24年度 障害者週間記念式典の開催について

管理部企画課
 去る、12月7日(金)当センター講堂において、利用者・職員出席のもと、利用者へのボランティアでご支援頂いてる方々並びに就労・実習でご支援頂いてる事業所への表彰等を含んだ記念式典と、ロンドン2012パラリンピックにて、金メダルを獲得したゴールボール女子日本代表を特別講演にお招きし、障害者週間記念式典を開催しました。

 式典では、国立障害者リハビリテーションセンター江藤総長より、12月3日の国際障害者デーから12月9日の障害者の日までの障害者週間についての経緯、国連の国際障害者デーに向けた今年のテーマ『すべての人々のためにインクルージブでアクセス可能な社会を創造するためにバリアを取り除くこと』の説明のほか、今年がアジア太平洋障害者の十年第2次の最終年度であり、10年前に採択されたびわこミレニアムフレームワーク(BMF)についても触れました。また、「1981年に国連が定めた国際障害者年のその年のテーマは"完全参加と平等"であり、30年以上たった今日と目指す方向は変わらないが、障害について考えると非常に多様な面があり、そう単純に定義できるものでなく、まだまだ解決しなければならないことは山ほどあり、障害の有る無しにかかわらず、誰もが住みやすい社会を目指して広く取り組むために、心を新たにする日として、障害者週間として本日の記念式典をお祝いしたい。」と挨拶されました。
 また、国立職業リハビリテーションセンター三上所長からは、「障害者の雇用者数が過去最高の38万2千人余りとなり、25年4月からは法定障害者雇用率が2%に引き上げとなる法制度の充実と更なる「共生社会」の扉を大きく開くには、仕事を通じた社会参加が最も大切である。」と唱えられ、幕末以前の柳田國男、江戸時代の禅僧・鈴木正三、明治時代の文豪 夏目漱石や奇跡の人で有名なヘレンケラーとサリバン先生等の例をあげ、仕事の歴史の視点から"共生社会の理念"についてご説明いただき、職員の方々に対し、障害者週間を機会に、それぞれの社会参加の姿や共生社会の姿に思いを馳せ、気持ちを新たに障害者問題への今後の取り組みに励んでいただきたい、障害者の皆様へは、日頃の生活の中で積極的に地域や周囲との関わりを持ち、さまざまな支援の力を借りながら、夢や希望の実現に向けて日々の努力を続けられることを期待します。とのご挨拶がございました。
 続いて、朗読及びデイジー編集で、15年・5年以上ボランティア活動された方々への表彰と職場体験実習及び就労支援利用者の雇用にご支援いただいた企業への表彰が行われた後、利用者の代表者から、「ボランティアの皆様の支援活動により、より良い環境で訓練に励むことができ、実習での経験が自信となり社会復帰への大きな一歩を踏み出すきっかけとなっております。皆様のお力添えを励みに今後とも学習に励んでまいりたいと思います。」と感謝の言葉を述べました。

 特別講演には、今年のロンドン2012パラリンピックにて、団体競技初となる金メダルを獲得した、ゴールボール女子日本代表の小宮正江選手、浦田理恵選手、安達阿記子選手の3選手及び江Kヘッドコーチをお招きし、ゴールボールと出会った時代から宿敵 中国を破って世界一となるシーンの映像も交え『金メダルまでの軌跡』と題しましてご講演いただきました。
 3選手とも福岡視力センター出身であり、そこで江Kヘッドとゴールボールに出会い、浦田選手と安達選手は、スポーツとは無縁の状況からのスタートでした。
 江Kヘッドの転勤というできごともありましたが、2008年に3選手そろって初めての北京パラリンピックを迎えます。この大会では、世界一美しいディフェンスと言われながらも、8カ国中7位という悔しい成績でしたが、この結果があったからこそ、自分たちのチームに何が一番欠けていたかをみんなで話し合う機会ができ、金メダル獲得に向けての苦労(練習)が始まりました。
 怪我をせず外国人の投げるボールにも負けない体づくりだけでなく、局面での勝負の鍵を握る"メンタル的"なトレーニングにも取り組みました。トレーニングのほか食生活にも気を配り、4年後の今年、ロンドンパラリンピックに臨むことになります。
 パラリンピックの選手村においては、トレーニングと同様にコミュニケーションも重要視し、選手、コーチ、スタッフとのディスカッションを複数回行い、多くの力が結集し、関係者みんなが"絶対勝つぞ!"という一つになった気持ちがメダル獲得に繋がったようです。
 江Kヘッドからゴールボールを始めてからの変化は?の問いには、小宮選手は、「やってやれないことはない、やらずにできるわけはないんだ!という強い心を持てるようになった。しっかりと言葉に出せば、夢は叶うんだ。」、浦田選手は、「できるようになったことが、めちゃめちゃ増えました。ゴールボールという競技だけにとどまらず、日常生活においても自分のスムーズな動きに繋がっている。見えなくてもできる方法を考えて訓練すれば、やれることはたくさんある。」、安達選手は、「集中力がすごくついた。ゴールボールをやっていたからそれだけの集中力を持って国試にも合格しました。」との回答があり会場にいた皆さんに勇気を与えて下さいました。
 最後に、浦田選手からの自信を持つためのアドバイスをご紹介させていただきます。
 1つ目は、"プラスな言葉を使う"です。
 「失点してはいけない。」というマイナスの言葉で締めくくるのではなく、「パーフェクトに抑える。」という前向きな言葉を用います。小さな事ですが積み重ねるよう意識します。
 2つ目は、"自分の中でルーティーンを決める"です。
 一日の流れで毎日、これだけは絶対に行うものを設定します。毎日行うため、どんな簡単で楽なことでも構いません。例えば、朝の洗顔時に鏡の前でにこっと笑ってみるなど。継続することによって、「自分は続けることができる人間だ。」と言い聞かせることが可能になります。
 以上のように、自分自身に厳しい3選手でしたが、トレーニング以上にコミュニケーションを大事にしてることが講演の中で伺えました。それは選手間のみでなく、スタッフや家族、支援された方々との関係も含まれます。これらの総合調整を行った江Kヘッドは、金メダル獲得への道標であり立役者といえるでしょう。また4年後のブラジルで同色のメダル獲得を期待いたします。

パラリンピックの余韻でお忙しい中、式典参加者に勇気と希望を与えて頂いたゴールボール女子日本代表の皆様にこの紙面をお借りしまして厚く御礼申し上げますと共に、この度表彰されましたボランティアの皆様及び就労においてご支援いただいてる方々のますますのご活躍を祈念しまして障害者週間記念式典のご報告とさせていただきます。
(写真)事業所表彰の様子 (写真)特別講演の様子
事業所表彰の様子 特別講演の様子


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