第39回国際福祉機器展(HCR2012)への研究所の出展報告

研究所 脳機能系障害研究部 脳神経科学研究室
和田 真


 2012年9月26日(水)から28日(金)の日程で、東京ビックサイトにて第39回国際福祉機器展(HCR2012)が開催されました。来場者は3日の合計で108,505人と昨年に比べるとやや少ない状況でしたが、多くの障害当事者、業界関係者、そして福祉領域を目指す学生たちで会場はあふれかえり、例年通りの活況を呈していました。

 研究所のブースは、脳機能系障害研究部・脳神経科学研究室の神作室長を中心に準備にあたり、「つたえる・うごかす 自立の支援」というテーマを設定し、意思伝達の補助や自立した生活の支援につながる機器を中心に4つのコーナーを用意すると共に、国リハ研究所の各部門の紹介を行いました。

 「各種生体信号による環境制御とコミュニケーションの補助」のコーナーでは、様々な生体由来信号(脳波、筋電、視線等)を利用して操作可能な開発機器の紹介と実機のデモを行いました。
 「障害者支援機器・身体計測機器のためのセンサ技術の開発」のコーナーでは、脳波計測用のゲル電極など、障害者の生活を支える機器や障害者の身体を計る機器への応用を目指して開発した独自のセンサや周辺技術を紹介しました。
「透明文字盤」のコーナーでは、意思伝達を実現するデジタルを装着した透明文字盤のデモを行いました。
「筋電義手」のコーナーでは、切断肢の筋電位により駆動できる義手のデモを行いました。デモでは、一般の方に装置を体験してもらえるようにしたこともあって、多くの人でにぎわい、機器の有用性を体験していただくことができました。

 国リハ研究所の紹介のブースでは、各部門の紹介を行うと共に、10月27日に開催の並木祭・研究所一般公開の広報も行いました。福祉機器展向けに用意したパンフレットに折り込むことで、一般公開のパンフレットも3000部近くを配ることができました。さらに国リハセンターのご案内などの資料も配布しましたが、いずれも好評で、よい広報の場となりました。

 研究所のブースに加えて、福祉機器開発部の廣瀬氏が中心となって、「車載用座位保持を必要とする方への自動車安全に向けて」というテーマでシンポジウムを開き、車載用座位保持いすを使用する障害児者の自動車上の安全を確保する目的で、ダミーによる日常運転挙動の調査、海外の調査、そして現在研究中の衝突実験について講演しました。出展社ワークショップというプログラムでの開催で、こちらも盛況だったということです。

 会場には、多くの障害当事者もブースに訪れ、「これはいつ売ってもらえるのか?」といった具合に、普及に向けた熱い声をいただいたり、研究開発したものについて、当事者から具体的なフィードバックをいただくことができました。このように3日間の開催ではありましたが、展示会を通して情報交換を行うことで、研究所の職員として、有意義な時間を過ごすことができ、また、研究開発へのモチベーションを高めるよい機会となりました。

 
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