研究所オープンハウスを開催しました

感覚機能系障害研究部 世古 裕子

12月9日(金曜日)に当センター研究所を会場に開催された「研究所一般公開(オープンハウス)」について報告させていただきます。

このイベントは日頃研究所で行われている医学、工学、心理学、社会科学などを基盤とした各分野の研究について広く知っていただくことを目的として毎年 12月の障害者週間に合わせて開催され、今回で6回目の開催となりました。来場者は年々増加傾向にあり、今年度は今冬初の雪が降る寒い日であったにもかかわらず約 230名の方々にご来場いただきました。主な内訳は、医療福祉関連の専門職や専門職を志す学生、会社員、ご本人やご家族が障害を抱える方々などでしたが、各展示会場で、研究担当者の説明に熱心に聞き入ったりメモをとったりしておられました。みなさまからたくさんのご質問、ご意見をいただき、関心の高さを窺い知ることができました。また今年は情報保障として、パンフレットの点字版や、パンフレットのマルチメディア・デイジー版の CD-Rを用意しましたところ、嬉しそうに持ち帰る方が少数ながらおられました。特にマルチメディア・デイジー版の CD-Rは喜ばれたようです。

以下に主な展示内容と当日の様子をご紹介いたします。 

○ 脳機能系障害研究部 (昨年度の 10月に発足)

「脳機能障害の科学的支援に向けて」というテーマのもと、ブレインーマシン・インターフェイス(BMI)(脳が発する信号を読み取って、手足が不自由な方でも身体を動かすことなく家庭の電化製品などの機械を操作(生活環境を制御)することのできる技術)を用いた環境制御システムの開発と発達障害の客観的評価・診断についてパネルとビデオによる展示が行われました。 



○ 運動機能系障害研究部

「『立つ・歩く・座る』動作改善に向けた科学的アプローチ」というテーマのもと、最新の基礎生物学の技術を駆使した損傷脊髄の機能回復を目指した基礎研究、脊髄損傷者のリハビリテーション方法の開発、褥瘡(じょくそう )予防に関する基礎研究・臨床応用、ヒトの立位・歩行の制御機序の解明を目指したヒトを対象とした研究が動画やパネル展示によって紹介されました。また、実際にヒトのランドマーク(関節など)に反射マーカーを貼り付け動作解析をする実験の供覧もありました。 



○ 感覚機能系障害研究部

「『見る・聞く・触る』感覚障害を最先端技術で科学する」というテーマのもと、指文字用触手話ロボットの開発、吃音の研究、網膜の変性と再生に関する研究についてパネル展示などで紹介されました。吃音とは、言葉がつっかえて、どもってしまうことですが、吃音と脳の働きとの関連について最新の研究成果が紹介され、指文字用触手話ロボットは試作品のデモがあり皆様興味深く触れておられました。 



○ 福祉機器開発部

「『人・生活・もの ユーザーの思いを支える』福祉機器の開発と評価」というテーマのもと、障害のある人や高齢者を対象とした福祉機器、例えば手や足を切断した人、認知症のある人や発達障害のある人を支援するための福祉機器が紹介され、実際に使用体験をしていただきました。今年のトピックスは、義肢装具/座位保持装置の試験評価、認知症者の福祉機器展示館、障害児者の自動車上での安全、高齢者向けの生活支援ロボット、電動車いすの臨床評価、電動車いすシミュレータ、車いす搭載形うつ熱予防システム、6点入力式簡易電子メモ装置、トレーニング用バーチャルオフィスと文字保存機能付き透明文字盤システムでした。 



○ 障害工学研究部

「先端工学の導入による新しい障害者支援技術研究と支援機器開発への挑戦」というテーマのもと、障害者支援機器 & 評価機器用生体インターフェースの研究開発、認知障害者の日常生活・就労支援機器の開発、障害を持つ人が着たい服を手に入れやすい衣服環境への取組、について、パネル展示によって紹介されました。 



○ 障害福祉研究部
「障害者の自立・社会参加を支援するしくみづくり」というテーマのもと、視覚障害・精神障害・発達障害・高次脳機能障害などの障害により通常の紙の本を読むことが困難な人に対する情報支援を目的とした情報機器(電子図書)の活用による情報支援、特殊なニーズのある子ども(人)のきょうだいに対する支援、盲ろう者に対する支援、ハンセン病問題の社会学的実証研究や利用者ニーズに応じた制度横断的なケア提供体制の構築、義肢・装具等の価格と製作費用についてパネル展示によって紹介されました。 

○ 義肢装具技術研究部

「義肢装具をさわってみよう!」というテーマのもと、筋電義手普及のための筋電義手のデモやいろいろな義肢装具のデモが行われました。また、義足に関する研究がパネル展示によって行われました。 



○ 高次脳機能障害情報・支援センター(今年度の 10月に発足)
「高次脳機能障害への理解を深めるために」というテーマのもと、高次脳機能障害と本情報・支援センターの役割についてパネル展示によって紹介されました。 

○ 発達障害情報・支援センター 

「発達障害の理解のために」というテーマのもと、発達障害に関する信頼のおける情報が、本人、家族の方、発達障害を知りたい方、発達障害に関わる方(支援者)に、わかりやすく提供されました。発達障害に関するテレビ放映の録画も供覧されました。 



○ (仮称)障害者ライフモデルルームの紹介
誰もが使いやすい福祉機器と部屋環境を考えるために、約 12m四方の多目的空間とトイレと風呂を常設した施設がセンター内に設置されます。多くの方々を対象とした情報発信・情報交換の場として活用する予定です。このモデルルームの概要がパネル展示と模型を用いて紹介されました。

 
写真 オープンハウス看板 写真 受付の様子
 
写真 感覚機能系障害研究部展示 写真 脳機能系障害研究部展示
 
写真 義肢装具技術研究部展示 写真 運動機能系障害研究部展示
 
写真 発達障害情報・支援センター展示 写真 福祉機器開発部展示
 
写真 高次脳機能障害情報・支援センター展示 写真 障害福祉研究部展示
 
写真 障害者ライフモデルルーム展示 写真 障害を持つ人が着たい服を手に入れやすい衣服環境への取組
 
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