〔巻頭言〕

新年の挨拶

総長 飛松 好子


 あけましておめでとうございます。旧年中は、国立障害者リハビリテーションセンターの運営にあたり、ご尽力くださいましたことに感謝申し上げます。
 さて、年頭にあたり昨年を振り返ってみますと、昨年は第2期中期目標の2年目の年でした。
さらにはPDCAサイクルを取り入れた、こちらも2年目の年でした。第二期中期目標として掲げた点は、国立の機関として、障害における多様な支援ニーズに応えるため先導的、総合的な展開を図ること、政策的課題に取り組むこと、そして、これらの取組の実際や成果を広く公表していくことです。社会に公表することは、成果を社会に還元するだけでなく、障害のある人のニーズが社会に伝わり、共生社会の実現につながります。
 PDCAサイクルは平成27年度から始まりました。今年度は2回目になるわけですが、だいぶ定着してきたように思います。昨年は目標を立てたり、それを評価したりと混乱も見られ、事務作業も大変でしたが、今年度は目標とその評価がスマートになってきたようです。職員の皆様もご自分の仕事の進捗状況をモニターでき、他部門との連携も見えて、便利になったことと思います。私としても挙がってきた評価表を見てセンター全体で様々な取り組みがなされ、日本のリハビリテーション、障害者福祉に貢献できているということがよく解り、うれしい限りです。
 さて、日本は今どのような状況なのでしょうか?昨年11月の総務省統計局の発表によりますと、一昨年11月に比較し昨年11月では人口は16万人減少しており、平成22年をピークとしてその後ほぼ横ばいから僅かな減少を示してきた日本の人口は今後は明確な減少傾向を示していきます。このような中で高齢者の割合は今後とも増え続け、また生産人口は減っていきます。
 このような人口動態に対処するために昨年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されました。「一億総活躍社会」とは、「女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した人も、障害や難病のある人も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会」のことだと謳われています。要は超高齢社会が今後とも進み、少子化が続き、人口の減少が始まっている現在、「みんなして健康で長生きして、働きましょう」ということです。
 国立障害者リハビリテーションセンターにおいてもこれまでは不十分であった高次脳機能障害や発達障害の方々への情報支援センターの設置や医学的、社会的リハビリテーション、研究開発といったことをそれまでの身体障害への取り組みに加えて行ってきました。また障害者健康増進・運動医科学支援センターを中心に健康寿命の延伸、健康増進に貢献してきました。
 今後とも障害者の「健康寿命の延伸」、「活躍」を実現していくために、センターが一丸となって取り組んでいく必要があります。年の初めに決意を新たにし、この1年がセンターにとって有意義な年となるようにみんなで努力をいたしましょう。どうかよろしくお願い申し上げます。