〔トピックス②〕
第47回日本発達障害学会報告
『優秀発表賞に選ばれました』
研究所発達障害情報・支援センター 深津玲子


 本年8月11、12日に横浜にて第47回日本発達障害学会が開催されました。発達障害学会は、わが国の発達障害に関する各分野の科学的研究を推進し、且つ援助すると共に、世界各国の同種研究活動と密接な連携を保ち、もって発達障害の研究の発展と発達障害に関する問題の解決をはかることを目的として活動する学会です。今回は『自閉症教育の創出ー到達点と課題」がメインテーマで開催されました(http://jasdd-yokohama.jp/)。
 今回国立障害者リハビリテーションセンターより5題の発表を行いました。演題および演者は次の通りです。
 ①障害福祉サービスにおける発達障害者の就労支援(1);青年期発達障害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業から 四ノ宮美恵子、小林菜摘、深津玲子、②障害福祉サービスにおける発達障害者の就労支援(2);就労支援モデルの検証の試み 小林菜摘、四ノ宮美恵子、深津玲子、③自閉症スペクトラム障害者の社会生活機能に関する調査;ICF-Basedアセスメントの開発と試行による一考察 鈴木さとみ、深津玲子、四ノ宮美恵子、④就労移行支援を要する発達障害成人の上肢機能の調査 車谷洋(現広島大学)、深津玲子、四ノ宮美恵子、小林菜摘、⑤社会性の評価のための検査法に関する研究 花木りさ、小倉加恵子、中島八十一、深津玲子、内山登紀夫(福島大学)。小林・四ノ宮が自立支援局就労移行支援課就労相談室、鈴木・車谷・花木・深津が発達障害情報・支援センター、小倉・中島が研究所脳機能系障害研究部所属です。一般演題はすべてポスター発表で、計93題ありましたが、その中で3題のみ選ばれた優秀発表賞に小林菜摘さんが発表した上記②が選ばれました(写真)。
 当センターでは青年期にある発達障害者が福祉サービスを利用し地域で職業生活を送ることを支援する手法、そのために必要な地域ネットワーク等を開発する目的で、平成20年度より「青年期発達障害者の地域生活移行への就労支援に関するモデル事業」を行ってきました。自立支援局にて発達障害の特性に配慮した就労移行支援と就労に向けて必要な生活面への支援を試行的に行い、発達障害情報・支援センターと共同して、同事業の対象者および支援手法について検討を行ってきました。今回の発表はおもにそのモデル事業を通じて得た知見の報告となります。このモデル事業は今年度より発達障害者就労移行支援普及・定着化事業として、自立支援局にて発達障害者に対する就労移行支援事業を一般事業化し提供する一方、病院発達障害診療室と連携しながら、診断から障害福祉サービスまでの情報提供や就労移行支援事業のガイダンスに至る総合的な相談機能の在り方についても検討し、具体化し、普及に努めたいと考えています。そのためにも今後ともモデル事業において開発した発達障害者の特性に配慮した就労移行支援プログラムをさらに充実させ、これらの取り組みについて学会や研究大会などで積極的に発表を行うとともに、発達障害情報・支援センターからの情報発信を強化していきたいと考えています。今後ともみなさまのご指導、ご協力をよろしくお願い致します。


写真 優秀発表賞に選ばれた小林菜摘さん
優秀発表賞に選ばれた小林菜摘さん