〔国際協力情報〕
第11回 障害者の統計に関する
ワシントン・グループ会議に参加して
研究所障害福祉研究部 筒井 澄栄


 2011年11月14日から16日までバミューダ諸島サウスハンプトンにおいて障害統計に関する第11回国連の障害者の統計に関するワシントン・グループ(WG)会議がバミューダ政府統計局の主催により開催され出席いたしました。第1回の会議には佐藤徳太郎元総長が出席され、第7回以降は継続して国リハが情報収集を行っています。WGは2001年6月にニューヨークで行われた障害の計測に関する国連の国際セミナーの結果、国際比較に利用できる障害計測法開発の必要性が認識され、設立されました。WGでは、ICF(国際生活機能分類)の概念に基づいて障害者の統計ツールとして、見る、聴く、歩く、コミュニケーション、認知、上肢機能に関する基本的な質問からなる短縮質問紙セットと前述の項目に、精神、痛み、疲労を加え、幾つかの質問項目が付随する拡大質問紙セットが策定され、世界各国あるいは国際機関などによるフィールドスタディが行われています。

 第11回会議は、バミューダのポーラA.コックス首相(兼財務大臣)、ゼーンデシルバ厚生労働大臣、ヴァレリーロビンソン - ジェームズ統計局長によるオープニングセレモニーではじまり、17カ国の統計部門と国際機関からの代表を含めた約40名の参加者で行われました。短縮質問紙セットを用いたイスラエル・アルゼンチン・アラブ・オマーン・南アフリカでの利用実績の報告、調査を行った際の質問項目の翻訳に関する問題点の紹介、拡大質問紙セット最終版に向けての米国の国民健康面接調査(NHIS)、ヨーロッパの健康と社会統合の調査(EHSIS)での利用報告、子どもの障害と環境因子のアセスメント項目策定を行っているワークグループの活動報告としてイタリアおよびユニセフの調査での活用報告、米国公衆衛生協会での協議内容についての報告が行われました。質疑応答では予定時間を毎回超過する活発な議論が展開されました。質問項目の翻訳、拡大質問紙セットの評価基準の設定と利用拡大、子どもの障害と環境因子に関する質問紙セット開発に向けての策定作業はなお続きそうです。最終日には、今後の活動方針と中国北京での次回開催が報告されました。

会議場にて
写真 会議場にて


 今回の会議が催されたバミューダ諸島(Bermuda Islands)は、大西洋の大海原に150余りの珊瑚礁からなる緑の島々からなっています。日本の鹿児島と同じくらいの緯度にあり、ほぼ三宅島と同じ面積に約68,000人が暮らしています。一般にバミューダと呼ばれるのは、最も大きなバミューダ島とセントジョージ島、ソマーセット島、アイルランド島などの総称で、主な島と島は通路で結ばれています。英国女王エリザベスⅡ世を国家元首とする海外領土であるため、政治体制は英国本国に準ずるものの、金融部門と観光産業により政治的・経済的には自立度は高く、一人当たりのGDPも高いです。17世紀の面影を残したパステルカラーの壁に真っ白な屋根の家々が並ぶセントジョージは、その歴史的価値が評価され、ユネスコの世界遺産に登録されています。

 今回の会議終了後に、バミューダの市街地にあるリハビリテーション関係の施設を見学することができました。小学校入学前教育のクラスやスポーツセンターの活動状況を見せていただきました。

 施設までは地元の人たちが日常的な交通手段であるフェリーでの移動(写真)となり、ちょっとしたクルージングを楽しむことができました。首都のハミルトンでは、車いすや歩行器(車)の利用者を多く見かけることができ、街並みに溶け込んでいるのが印象的でした。

写真 小学校入学前教育クラスその1 写真 小学校入学前教育クラスその2
学校にて
 
写真 車椅子テニスその1
写真 乗馬
写真 車椅子テニスその2
 
写真 車椅子バスケットボール 写真 車椅子アーチェリー
スポーツセンターにて

写真 フェリー全景 写真 フェリー内
地元の人が日常の交通機関として利用しているフェリーで市街地へ