〔学院情報〕
「卒業生の活躍状況」
学院視覚障害学科教官 小林 章


  写真は活動拠点の津市市民センターにて 左:NPO法人アイパートナー代表 前川氏 右:奥村伊登さん(16期生)
  活動拠点の津市市民センターにて
左:NPO法人アイパートナー代表 前川氏
右:奥村伊登さん(16期生)

 今回は当学科の卒業生であるNPO法人アイパートナーの奥村伊澄さんにお話を伺いました。
 奥村さんは平成19年3月に国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科を卒業し、現在、三重県津市に事業所があるNPO法人アイパートナーに勤務されています。アイパートナーは視覚障害者の自立支援施設のない三重県にあって、スタッフ4名で三重県全域を訪問し、年間述べ2000件もの生活訓練を、個人の状況に応じて提供している事業所です。

Q1 アイパートナーの業務内容を教えてください。

A1 視覚障害者の自立生活の実現のための各種訪問訓練を主な業務として行っています。視覚障害が原因で困っている事柄ややってみたいけれどできないだろうとあきらめている事柄などに対し、どうしたら安全にそれらのことが可能になるのか、助言をしたり、本人と相談したり、練習をしたりして、実現させていきます。
 また、障害福祉に関する講習会の主催、講師派遣なども行っています。


Q2 奥村さんは具体的にどのような仕事をしているのですか。

A2 主な仕事の内容は、訓練受講者の自宅や希望する訓練場所に行き、その方に必要な訓練を行っています。
 訓練内容は、初回に初期面接を行い、実施する内容を決めています。
 訪問範囲が三重県内と広範囲なため、あらかじめ訪問する地域を決めて、訓練の予約を入れています。日や地域によって違いますが、1日にだいたい3件の訓練を行います。
 訓練終了後は、スタッフが集まり、訓練の進め方について話しをしたり、勉強会をしたり、事務作業を行ったりしています。


Q3 現在の職場に就職した理由を教えてください。

A3 アイパートナーに就職した理由は、視覚障害者への訓練数が多く、学院で勉強した内容が活かせると思ったからです。また、実習でお世話になったとき、上司や先輩の視覚リハや訓練に対する考え等に感銘を受け、この職場で働きたいと思ったからです。


Q4 仕事で心がけている点、やりがい、苦労等について教えてください。

A4 仕事で心がけている点は、訓練受講者に感覚のすばらしさを実感してもらえるように訓練を進めていくということです。訓練の中では、視覚以外の他の感覚を利用する方法を練習することが多くあります。その際、その練習を後ろ向きに捉えてしまわないように、人間の感覚は豊かで素晴らしいことを実感してもらい、こちらが考えている目的を誤解のないようにしっかりと伝えると、前向きに捉えてもらえることが多いです。そのような訓練の中で、その方ができなかったこともしくはしたかったことが出来るようになり、一緒に喜んでいる時が、やりがいを感じる時です。


Q5 学院の視覚障害学科を志望した理由を教えてください。

A5 リハビリテーションに関わる仕事がしたいと考えていたときに、視覚障害者に対するリハビリを学べる場所があると知りました。それまで視覚障害の方と接する機会がほとんどなかったのですが、なぜか興味を持ち、勉強がしてみたいと思ったのが志望した理由でした。他にこれほど視覚障害のリハビリテーションを多角的に深く学べる場所はないと思います。


Q6 後輩達へメッセージをお願いします。

A6 訓練現場では、臨機応変な対応が求められることが多いです。学院でたくさんのことを学ぶと思いますが、その知識を相手に合わせて出せるように、いろいろな角度から考える練習をすると良いのではないかと思います。2年間は、あっという間に過ぎていきますので、この間にできることは何でもしておこうというくらいの気持ちで過ごしてください。また、学院でできた友人のネットワークは仕事をしていくうえでも大きな財産になりますので、友人と楽しく過ごす時間も大切にしてください。