〔ワンポイントマッサージシリーズ15〕
〜東洋の経験と知恵を活かして健やかな毎日を〜
更生訓練所理療教育部主任教官 柳澤 春樹



15.「動悸、息切れ」

 今回からは循環器系の症状としてよく見られるものをいくつか取り上げることとします。

 呼吸・循環器系の症状で最も一般的なものの一つに動悸・息切れがあります。心臓の働きが悪くなったり、貧血があったり、その原因はさまざまです。心臓や呼吸器そのものが悪くなくても精神的なストレスが原因で動悸や息切れを訴える方は多いものです。

 中高年の方で早朝に動悸、息切れや胸の痛みがあるという場合には狭心症や心筋梗塞などの恐ろしい病気も考えられますので、必ず専門医の診察を受けなければなりません。今まではなんでもなかった日常的な動きでも動悸、息切れがして目まいや頭が重く感じたり、首の辺りがどきどきするなども要注意です。

 精神・心理的なストレスが最も影響するものとしても循環器の症状が知られています。

 重大な疾患が潜んでいる場合にはまずその治療が絶対に必要なことは言うまでもありませんが、「動悸、息切れ」が気になるときに以下の方法を試してみてください。いくらかでも症状の軽快が期待されます。




1.椅子に座って行なえます。胸骨の下でみぞおちの真ん中の部位に両手の中指を重ねて当て、1,2,3で息を吐きながら押し揉みをします。4,5,6で息を吸いながら力を抜きます。これを5・6回くりかえします。

(巨闕「こけつ」))(図1)


(図1)巨闕「こけつ」)




2.やはり椅子に座って行なえます。胸骨の真ん中より少し下の部位(図)に両手の中指を重ねて置き、指圧します。1,2,3と息を吸いながら力を入れ、胸を反らします。4,5,6で息をはきながら力を抜いて、もとに戻ります。これを5・6回くりかえします。

( だん中「だんちゅう」 )(図2)


(図2)だん中「だんちゅう」




3.座っていても横になっていても行なえます。手首の小指側の小さなでっぱり(豆状骨といいます)のすぐ下のくぼみを反対側の親指の先で指圧します。1,2,3で息を吐きながら力を加え、4,5,6で息を吸いながら力を抜きます。5・6回行なったら反対側にも行なってみましょう。

(神門「しんもん」)(図3)


(図3)神門「しんもん」



 動悸や息切れのある人の多くに肥満傾向が見られるものです。まずは肥満の解消に努めるのがいいでしょう。無理なく減量していくのは簡単ではありませんので、できれば素人判断でなく、専門家の意見も聞きながら、気長に行なってほしいものです。

 精神・心理的緊張が原因でさまざまな身体的症状のある方々には、「自律訓練法」などの専門的なものが有効なことがあります。心療内科などでご相談してみるのもお勧めです。

 また、東洋医学的には掌の真ん中にあるツボ「労宮(ろうきゅう)」を反対側の親指の腹でぐっと押すと心が落ち着くと言われております。人前で話をしたり、歯医者さんで治療を受けるときなどに緊張してどきどきするという方は試してみてはいかがでしょうか。