中期目標


国立障害者リハビリテーションセンター第3期中期目標

~ 共生社会の実現に向けた、時代の要請に応える研究開発、
情報発信、人材育成、医療福祉サービスの充実  ~

制定:令和2年4月1日

国立障害者リハビリテーションセンター(以下「センター」という。)が達成すべき業務運営の目標(以下「中期目標」という。)を次のとおり定める。

国立障害者リハビリテーションセンター総長 飛松 好子

 

(前文)

昭和54年、国立身体障害者リハビリテーションセンター(以下「旧センター」という。)が設置された。その設置は、昭和41年11月に出された身体障害者福祉審議会答申に基づく。当時、地方自治体に設置されていたリハビリテーションセンターは10カ所にも満たず、旧センターは「各種リハビリテーション施設のモデル」としての役割を大いに果たした。同時にリハビリテーションに関わる人材の育成、研究開発、国際協力においてもその機能を発揮した。その後旧センターは平成20年に国立身体障害者リハビリテーションセンターから国立障害者リハビリテーションセンターと名称換えをした。同年、発達障害情報センター(現発達障害情報・支援センター)が厚生労働省本省から移管された。平成22年には障害者の保健サービスを行うものとして健康増進センター(現障害者健康増進・運動医科学支援センター)が設置された。平成23年には高次脳機能障害情報・支援センターが設置され、平成30年には企画・情報部情報システム課に支援機器イノベーション情報・支援室を設け生活支援機器の普及、制度施行の均等化、格差是正をその目的として取組を開始した。このように、センターは徐々に障害者への直接サービスのみならず、研究開発、情報発信等の機能の充実を図ってきた。

 

第2期中期目標において設定した目標の多くは達成した。その一方で、病床利用率の向上や、実情に即した利用定員の見直し等、十分に取り組めない項目もあった。これらの点に関しては、平成30年度にセンターの今後のあり方に関する検討会を行い、問題点を明らかにした。

 

このようにセンターの役割は当初の「各種リハビリテーション施設のモデル」の提示から、情報支援へとシフトしつつある。一方で、地方自治体においてはリハビリテーションセンターの設置、あるいは障害者地域共生への施策は進みつつあるが、未だ地域格差はあり、また取り組まねばならない課題も存在する。高次脳機能障害、発達障害、吃音、多発外傷や再生医療リハビリテーション等である。そのため、リハビリテーションモデルの提示、均てん化も同時に継続せねばならない課題と考えられる。

 

社会もまた変化している。平成28年には「ニッポン一億総活躍プラン」が打ち出され、「健康寿命の延伸」「障害者等への活躍支援」「地域共生社会の実現」を目指すと述べられている。「活躍支援」の具体策として「障害者等が、希望や能力、障害や疾病の特性等に応じて最大限活躍できる環境を整備するため、就職支援及び職場定着支援、治療と職業生活の両立支援等を推進」が掲げられている。また、平成30年3月には障害者基本計画(第4次)が閣議決定された。基本計画においては「障害者の権利に関する条約」の実現に向けた計画が盛り込まれている。

 

このような時代背景の中で、障害者が地域で共生していくためにセンターは人口構造の変化や社会の進歩、科学技術の発展を鑑み、センターの今後のあり方に関する検討会の報告を踏まえ、地域共生社会の実現に向けた事業展開が必要とされている。

 

第2期中期目標の期間中に取り入れられたPDCAサイクルは、職員が目標設定とその達成のモニターを習慣化していく上で有効であった。今後とも、中期目標と各部門の毎年度の運営方針、組織目標及び各職員の業績目標をこれまで以上に連動させる仕組みを構築した、PDCAサイクルを活用し、目標達成に向け職員が一丸となって取り組むこととする。
 以上を踏まえて第3期中期目標をここに策定する。

 

第1 中期目標の期間

第2 国立の中核機関としての役割の遂行に関する事項

第3 部門間での課題共有と連携による一体的な取組の強化に関する事項

第4 業務遂行能力の向上と業務運営の効率化に関する事項

第5 歳出予算等の改善に関する事項

 


第1 中期目標の期間

令和2年4月1日から令和7年3月31日までの5年間とする。

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第2 国立の中核機関としての役割の遂行に関する事項

1.リハビリテーション医療の提供

障害者や障害になるおそれのある者を対象に、適切なリハビリテーション医療を提供するとともに、時代の要請に応えた取組を強化し、先進的なリハビリテーションプログラムの開発(重複障害等の困難事例等)や、試行的サービスの提供を行う。部門間や外部機関との連携による臨床研究開発機能の強化や患者支援サービスの充実を図る。病院運営については、適切なリハビリテーション医療サービスの提供に向けて、病床数、セラピスト等の人員体制等について検討を行う。

(1)先進的リハビリテーション医療の推進

先進的なリハビリテーション医療(再生医療リハビリテーションや情報技術(IT)機器、先端技術を用いたリハビリテーション、重度障害、重複障害、高齢障害者等における対応困難事例のリハビリテーション等を含む)を推進するとともに、リハビリテーション手法の開発や、試行的サービスの提供を行い、その積極的な情報発信に努める。次のリハビリテーションの充実を図る。

① 頸髄損傷を含む脊髄損傷

② 多発外傷、切断

③ 先天性四肢形成不全、筋電義手

④ 高次脳機能障害

⑤ 難病

⑥ 思春期以降の発達障害

⑦ 吃音

⑧ 視覚障害

⑨ 聴覚言語障害

(2)適切な障害者医療・看護等の患者支援サービスの提供

障害者や障害になるおそれのある者を対象に、障害特性に配慮して、適切な障害者医療、看護、二次障害の予防や健康増進活動等の患者支援サービスを提供し、その積極的な情報発信に努める。

(3)部門間や外部機関との連携による臨床研究開発や患者支援サービスの強化

部門間や外部機関との連携により、臨床研究開発機能の強化を図り、臨床研究、研究倫理に係る法令を遵守して臨床研究を推進するとともに、医療から社会的自立までのリハビリテーションの充実を図る。また、地域との連携による患者支援サービスの充実を図り、その積極的な情報発信に努める。

(4)適切なリハビリテーション医療サービスの提供に向けた病院運営の検討

適切なリハビリテーション医療サービスの提供に向けて、病床数、セラピスト等の人員体制等について検討を行う。また、患者が安心してサービスを受けられるよう、医療安全管理、感染防止対策等の安全面における管理や、専門職の育成、職員の資質向上等の人材育成においても充実を図る。

2.障害福祉サービスの提供

障害者のニーズや社会情勢を踏まえ、国立機関としての役割を担っていくため、自立支援局の支援体制について検討を行うとともに、福祉型障害児入所施設における障害児の保護及び支援の向上を図るため、秩父学園の役割について、障害児入所施設の在り方に関する検討会報告書「障害児入所施設の機能強化をめざして(令和2年2月10日)」の「福祉型障害児入所施設の課題と今後の方向性」に記載されている4つの機能ごとに整理し、中核機関としての役割の強化を進める。
  新たなニーズへの対応やサービスの質の向上への取組を行い、そこで得られた事業成果を普及・啓発していくため、情報発信体制の強化を図る。

(1)自立支援局機能の将来像の検討

障害者等のニーズや社会情勢を踏まえ、国立機関としての役割を担っていくため、自立支援局として行うべき障害福祉サービス、支援体制等の将来像を検討する。

(2)サービスの質の向上と新たなニーズへの対応

サービスの質の向上や新たなニーズへの対応を図るため、サービスの体系化・効率化、支援の充実等に積極的に取り組む。

① 頸髄損傷者に対する就労支援の充実

介護を要する頸髄損傷者の就労移行支援の充実に向けた取組を進める。

② 先端的な技術等を活用した支援方法の試行

頸髄損傷者等に対する訓練や生活支援において、情報通信技術(ICT)、ロボット技術(RT)を活用した支援機器等の導入に向けた支援を、研究所と連携し試行的に取り組む。

③ ロービジョン者に対する機能訓練及び復職支援の推進

ロービジョン支援に関する職員の研修体制を整え、スキルアップを図るなど、機能訓練の充実及び復職支援の推進に向けて病院と連携を図る。

④ 発達障害者への支援の充実

就労を希望する発達障害者に対する就労支援を継続するとともに、生活面の支援も可能とする体制を整備し、支援の充実を図る。

⑤ 標準的なサービスの体系化と効率化

各種サービスにおいて、評価方法や訓練プログラムの開発・充実を図り、標準的なサービスの体系化と効率化を進める。

⑥ 就職率及び定着率向上

職場開拓、就労マッチング支援の充実により就職率の向上、職場定着に向けた支援及び就労定着支援の円滑な実施により定着率の向上を図るとともに、支援プログラム等を検討する。

⑦ 利用者の高齢化、障害の重度化・重複化等特別な配慮を要する就労移行支援(養成施設)利用者に対する効果的な支援・効率的な学習プログラムの開発

中高年の視覚障害者に対する支援を強化するとともに、障害の重度化・重複に対応するため特別指導教官の育成とサービスの充実を図る。

⑧ あはき師国家試験合格率の維持と実技力の向上

進級基準等について検討するとともに、能動的学習環境の整備・推進を図る。また、教科指導要領の見直しなどの取組を通じて国家試験合格率の維持と実技力の向上を図る。

⑨ 高齢障害者への支援

高齢障害者に対する支援を行い、課題を抽出・検討する。

(3)事業成果の普及

これまで実施してきたサービスの実績、効果等を検証するとともに更なる支援の充実を図り、これまで得られた事業成果を普及・啓発していく。

① 高齢及び在宅視覚障害者に対する支援の充実と普及

高齢及び在宅視覚障害者に対する支援の充実に向け、訪問訓練データの集積と分析を継続するとともに、地域の支援者を対象にした研修会の開催等、事業成果の普及に向け取り組む。

② 頸髄損傷者に対する支援の充実と普及

頸髄損傷者に対する支援の充実を図るため、介護支援実績データと支援プログラムを活用したデータの集積を継続し、年齢、帰結や介護量の変化等を分析・検証し、支援・訓練の方法等を再検討するとともに研修会等で情報発信する。

③ 高次脳機能障害者に対する支援の充実と普及

高次脳機能障害者へのサービス内容の充実を図るため、施設利用や復職等の様々な目標達成のためのニーズに応える支援の一層の充実を図る。また、地域の関係機関との連携等を通じて得られた成果の普及に取り組む。

(4)秩父学園の機能強化をめざして

① 発達支援機能

家庭的な養育環境の推進、専門性の高い支援、教育と福祉の切れ目のない連携を図るため、支援が困難な知的障害児等に対して、短期間受け入れ、障害児毎に適切な支援方法を構築する等、国立施設として先駆的・総合的な支援に取り組む。

入所機能の再構築に向けて、以下の取組を行う。

ア 対応困難事例の受け入れと適切な支援方法の再構築及び被虐待児とその家族への支援の取組。

イ 特別支援学校に通えない入所児童に対する教育機会の検討。

ウ 全国的な受け入れ促進と適切な事業規模の検討。

② 自立支援機能

自立に向けた支援の強化、18歳以上の障害児入所施設入所者への対応(いわゆる「過齢児問題」)を図るため、自立(地域生活移行)のための支援を入所者の状態像に応じて行い、そのノウハウを全国に広めていく。

ア 拠点機能の強化に向けて、自立(地域生活移行)支援の着実な実施とノウハウの普及及び発達障害を中心とした他機関との連携を進める。

③ 社会的養護機能

被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化、児童養護施設等との連携強化を図るため、支援が困難な知的障害児等に対して、短期間受け入れ、障害児毎に適切な支援方法を構築する等、国立施設として先駆的・総合的な支援に取り組む。

ア 情報発信体制の強化に向けて、知的障害児の養育に関する現状調査と啓発活動の推進を図る。

イ 全国の知的障害児を支援する事業所等の人材育成に向けて、指導者としての職員派遣の推進と、困難事例の対応力獲得を目指した研修の受け入れと実習の場の提供を行う。

④ 地域支援機能

ソーシャルワーカーの配置の必要性も視野に入れ、秩父学園を退所した児童及び在宅で養育している児童について、関係機関と連携したフォローアップ等を検討する。

ア 退所後のフォローと家庭養育が困難となった時の一時的サポートの検討を行う。

(5)情報発信体制の強化

① 集積データ等の効果的な発信

これまで集積してきたサービス提供データ等を研究所と連携し分析を行い、得られたエビデンスについて情報発信する。

② 情報発信体制の検討と強化

研修会等での発表及び報告、ホームページを利用した広報活動等各種の情報発信手段を利用して、効果的な情報発信ができる体制を検討し、強化を図る。

③ 情報発信計画策定による情報発信の強化

センターとして発信が必要あるいは求められている情報の種類、目的を整理し、発信が可能な内容及び方法等の検討を行い、情報発信計画を策定する。

(6)人材育成

① 職員の資質向上

「期待する職員像」を明確にし、職員の教育・研修に関する基本方針や計画を策定し、教育・研修に取り組む。

② 専門職員の実習・研修の実施

専門職員や実習生等の福祉サービスに関わる専門職の実習・研修の受け入れを推進するとともに、地域のニーズに対応して職員を派遣する。

(7)リスク管理の強化

① インシデント・アクシデントに関するデータ集積と分析による未然防止の推進

インシデント・アクシデントに関するデータ集積と分析を継続するとともに、改善策や再発防止策の検討・実施等に取り組む。

② 危機管理体制の推進

危機管理マニュアルの周知徹底及び充実を図るとともに、安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制を進める。

(8)災害等緊急時の危機管理の充実

災害時の事業継続及び被災障害者の受入れや被災地への専門職員の派遣等、地方自治体等関係機関からの要請に迅速かつ的確に対応する。

3.支援技術・支援機器・支援システムの研究及び開発

障害者リハビリテーション分野に特化した唯一の国立機関として、また、自立支援局・病院という臨床現場を有する特性を活かして、障害者の自立やQOL向上を図るための支援技術・支援機器・支援システムの研究及び開発を推進し、その成果を発信する。また、厚生労働省直轄機関として国の政策立案に資する研究を実施する。

(1)臨床現場を有する特性を活かした研究及び開発の推進

① 新しいリハビリテーション技術の研究及び開発を行う。

② 新しい診断・治療技術の研究及び開発を行う。

(2)障害者の自立と社会参加を支援する研究及び開発の推進

① 先端技術(ICT・人工知能(AI)・RT等)を導入した支援技術・支援機器・支援システムの研究及び開発を行う。

② 支援技術・支援機器の普及に関する研究を行う。

(3)国の政策立案に資する研究の推進

① 行政データの収集・解析を行う。

② 施策立案への提言を行う。

(4)人材の育成と競争的研究資金の活用

① 流動研究員及び研修生・実習生の積極的な受入れを推進する。

② 研究倫理及び不正防止等に関して、職員の資質向上を図る。

③ 競争的研究資金の積極的な活用を推進する。

(5)研究活動促進のための見直し

① 研究所の組織再編、環境整備を促進するとともに、他部門との研究支援体制及び部門間連携について推進する。また、研究テーマの立案プロセスを見直す。なお、産学官の連携強化についても推進する。

② データポリシーの策定とそれに基づくリポジトリを推進し、研究データの情報公開の充実を図る。

4.リハビリテーションに関する専門職の人材育成

我が国の障害者リハビリテーション分野、知的・発達障害福祉分野において、臨床家としてのみならず研究者・教育者として指導的役割を担い得る専門職を育成するために、先進的な知識と技術を付与する。

(1)障害関係専門職の育成

指導的役割を担う専門職の育成の観点から、卒後教育の充実を図るとともに、現任者も対象とした養成のあり方を検討し、見直しを行う。一方で、現行の養成課程における学生定員の適正化を図る。学生確保のための効果的広報に努め、定員充足率の維持向上を目指す。また、教官の教育者としての専門性を醸成するとともに、学生支援の一層の充実を図り、学生支援室員の専任化など組織の拡充を目指す。

(2)専門職に対する研修機能の充実

研修事業について、立地条件や定員の制約等を解消する観点からのICTの活用や、国主導研修のセンターとしての関わり方も含めた見直しを行い、必要に応じて、新規事業の立ち上げ、内容改善、廃止等を行う。

5.障害者の健康増進推進、運動医科学支援

障害者が、その障害の初期から地域生活期に至るまで、健康で活動的な生活を維持・推進できるよう、具体的方法の研究開発・提案を行い、その実践・普及を図る。運動は社会参加そのものにもつながることから、障害者が運動・スポーツ・レクリエーションに安全かつ円滑に取り組めるよう、調査研究と支援を行う。

(1)健康増進プログラムの実践と普及

様々な障害のある当事者がその特性に応じて心身の健康を維持・増進できるよう、医学・保健・運動・栄養の面から捉え、健康増進プログラムの研究と実践を行う。また、現場において健康増進に関する事業に携わる人材の育成と連携を支援し、事業の普及を図る。

① 障害と目的に沿った健康増進プログラムの運用法の確立

運動指導の際に医学的状態、社会的環境に応じて目的を設定し、それに応じた評価法を用いながら効率的に健康増進プログラムを運用する。

② 健康増進の地域交流モデルの構築と実践

地域の健康増進リソースと連携し、地域社会での長期的な健康維持を推進するモデルを構築・実践する。

③ 各県拠点施設との連携

遠隔地の拠点施設への訪問による情報提供や現状把握を行う。ホームページでの情報発信を行い、関連職種のネットワーク構築を進めるとともに連絡会を開催することにより、健康増進の取組の普及・均てん化を進める。

④ 人材育成

ヘルスプロモーション研修会を中心に、関連職種に対する研修会を実施する。

(2)障害者競技・スポーツ活動への支援と医科学研究の実践

障害者が自分の障害に応じて適切な運動機会を得られるよう医科学支援を行うとともに、障害者スポーツに関連する医科学研究を実践し、障害者のスポーツ参加を推進する。

① 障害者競技スポーツの医学的課題への取り組み

重度障害者アスリートに対してコンディショニング、体組成、体温、用具開発等の支援を行う。先進的な技術を活用するとともに得られた知見を一般のリハビリテーションにつなげることを試みる。

② 競技実施における医学・環境面の支援

競技団体からの要望に応じたアスリートチェック・練習支援を行う。

③ 障害者のスポーツ活動への参加推進

外部のレクリエーションスポーツ団体についての情報収集、連携、体験会の支援を行う。

6.リハビリテーションに関する情報収集・発信及び情報基盤の構築

国立機関として情報発信機能を高め、収集した障害者リハビリテーションに関する知見や技術等の各種情報を集約し発信する。それを支えるための情報基盤整備の方向性を検討する。

(1)部門間連携による広報の実施

リハビリテーションに関する情報発信等を効率的かつ効果的に実施するため、各部門において情報発信(広報)の対象者・目的等を明確にした上で具体的な情報発信(広報)を展開する。また、閲覧者の視点に立ったホームページの見直し等を行う。

(2)情報バリアフリーに配慮した情報の発信

情報バリアフリーに配慮した情報発信を積極的に推進するとともに、情報アクセシビリティの観点から更なる効果的な発信方法を推進する。

(3)障害理解に関する普及啓発

① 障害者週間記念事業の実施

障害者基本法により定められた障害者週間の趣旨に沿い、障害者週間記念事業を通した普及啓発について検討し、実施する。

② 自治体等が実施する障害に関する普及啓発活動等への協力

センターの地域貢献活動として、小中学校等で行われる教育活動、自治体等が実施する障害者の福祉に関する啓発活動へ参加する等の協力を行い、障害に対する関心を深め、理解の促進を図る。

③ ホームページ等による障害に関する理解の促進

ホームページ等を通じて、障害に関する理解の促進を図る。

(4)事業成果の全体集約及び提供

① センターの毎年の事業成果を国民その他の利害関係者に対して説明・理解してもらうため事業報告として取りまとめる。

② ホームページ等による情報発信やそれに関する研修、関係機関とのネットワークなどを通じた情報発信をする。

7.全国の支援拠点機関の中核センターとしての機能の強化

全国の支援拠点機関の中核センターとしての機能を果たすよう、情報の収集・整理・発信を強化するとともに、新たな課題に取り組む。

<高次脳機能障害情報・支援センター>

(1)情報共有と発信の強化

支援拠点機関の資質向上と機能強化を図るという中核センター機能の発展と情報収集・発信機能の強化を図る。

① 支援機能の均てん化

高次脳機能障害の社会的認知の広がりなどにより支援を必要とする者が増加している状況の中で、高次脳機能障害者の適切な支援につなげられるよう体制を整えていくことで支援機能の均てん化を図る取組をする。

② 先進事例に関する情報発信

「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」を一層推進するため、全都道府県に設置された支援拠点機関と連携し、蓄積された体制整備の進んでいる自治体の先進事例を他の自治体へ紹介する取組をする。

③ 困難事例のフィードバック

高次脳機能障害者支援の困難事例について、蓄積された事例について支援現場へフィードバックする取組をする。

(2)蓄積された知見、データの管理と解析支援

① 全都道府県に設置された高次脳機能障害者の支援の拠点となる機関と連携し先進・困難事例を調査し蓄積をする。

高次脳機能障害者支援の先進、困難事例について、全国の支援拠点機関と連携するとともに、地域での医療・保健から福祉・介護への流れが作られるネットワーク構築の取組を支援する。

② 高次脳機能障害に関する蓄積された事例を基に分析を行い、課題解決のための検討を行う。

(3)人材育成(養成・研修)

事業所等の職員を対象に、福祉の現場における高次脳機能障害者の受入れ促進を図る目的で研修会を企画実施する。

<発達障害情報・支援センター>

(1)情報共有と発信の強化

支援拠点機関等の資質向上と機能強化を図るという中核センター機能の発展とともに、ICT環境の整備や活用を促進して情報収集・発信機能の強化を図る。

① 発達障害分野における関係機関との連携

全国の発達障害者支援センターや国立特別支援教育総合研究所等、発達障害分野の関係機関との連携強化を図る。

② 発達障害に関する新たな課題への取組

高齢期の発達障害者支援等新たに顕在化した課題や、社会の変化に応じて生じた新たな課題について、情報収集・分析・発信を行う。

(2)蓄積された知見、データの管理と解析支援

支援拠点機関等のネットワークを活用して発達障害に関する好取組事例等の収集・整理・提供を行うとともに、発達障害の支援に関するデータの管理・解析・発信を行う。

(3)人材育成(養成・研修)

① 発達障害分野の支援者向けセミナーを、毎年新たなテーマを設定して開催する。

② ICTの活用を積極的に促進し発達障害分野の支援者の育成を図る。

〈支援機器イノベーション情報・支援室〉

(1)中核センター機能の発展と情報収集・発信機能の強化

全国の支援拠点機関の中核センター機能の発展と情報収集・発信機能の強化を図り、ホームページの充実・活用を通じて障害者の支援機器関係者に向けた総合的な情報発信を行うとともに、障害者の支援機器が適正に支給されるための支援やその普及促進に向けた取組を行う。

(2)情報共有と発信の強化

全国の関係機関と連携してネットワークを形成し、障害者の支援機器に関する情報基盤を構築するとともに、ホームページの充実・活用を通じて障害者の支援機器関係者に向けた総合的な情報発信を行う。

(3)蓄積された知見、データの管理と解析支援

補装具等完成用部品指定申請事務とそのデータ管理に取り組み、補装具等完成用部品指定申請事務の効率化のためシステム開発も含め検討する。

(4)人材育成(養成・研修)

小児筋電義手等障害者の支援機器の普及促進を図るために、筋電義手貸し出しなど障害者の支援機器を活用した連携支援を目指すとともに、小児筋電義手研修会等の取組による人材育成を行う。

8.業務品質の向上と効率的・効果的な事業運営

中期目標と毎年作成する運営方針、組織目標による目標・進捗管理の仕組みにより、業務品質の向上とガバナンスの確保を図る。

(1)事業の実施・評価後の見直しと改善の推進

運営方針、組織目標について、PDCAサイクルを更に定着させることで、定期的に見直しを行い改善点を明確化して組織として共有しつつ、事業に反映させることで業務の質の向上を図る。

(2)部門間での課題共有と連携による一体的な取組の強化

部門間での課題を本中期目標で明確化のうえ共有し、一体的な取組を強化していく。

(3)運営委員会の開催

センターの適正かつ円滑な運営を図るための諮問機関としての運営委員会を開催し、いただいた意見を適切に事業運営に反映させる。

9.リハビリテーションに関する国際協力

国立機関として、センターが有する障害者のリハビリテーションに関する情報や技術をもって、WHO指定研究協力センターとしての活動等国際機関への協力や日中韓のリハビリテーションセンター間の連携・協力等の国際協力の活動を推進する。

(1)WHO指定研究協力センターとしての活動

① 行動計画の着実な実施

障害の予防とリハビリテーションに関するWHO指定研究協力センターとしての行動計画に沿った活動を着実に実施する。

② WHO指定研究協力センター間の連携の推進

西太平洋地域等の障害とリハビリテーションに関係するWHO指定研究協力センターとの連携・協力を推進する。

③ WHO指定研究協力センター再認定のための申請

WHO指定研究協力センターとしての認定期間が令和2年10月で満期を迎えるため、7回目の更新申請のために次期行動計画をWHOと調整して策定する。

④ その他の活動

障害とリハビリテーションに関するWHOの会議及び開発等に参加し、WHOの方針及び他の参加国の情報を収集してセンターの国際協力に反映させるとともに、センターの有する知見をWHOや他の指定研究協力センター等に情報発信する。

(2)日中韓の連携の推進

日中韓のリハビリテーションセンター間の連携協力協定が令和5年2月に満期を迎えるため、引き続き協定を継続する。

(3)リハビリテーション技術・情報の海外への提供の推進

① 海外のリハビリテーション従事者の人材育成と見学者への情報提供

センターが有するリハビリテーションの技術や情報を海外のリハビリテーション従事者への研修、見学を通じて提供する。

② 情報発信の強化

ホームページ等を通じてセンターの国際協力の活動やリハビリテーションの取組を海外に情報発信する。

(4)国際協力の推進

国内外の国際機関、海外のリハビリテーション機関等との連携により国際協力を推進する。

10.情報セキュリティ対策

(1)情報セキュリティ対策の推進

インターネット及び電子メール等を利用した情報交換に際して必要なセキュリティ対策を、厚生労働省等と連携して推進する。

(2)情報セキュリティの重要性の周知及び研修

情報セキュリティの確保について、その重要性を一層認識するために、職員に対して周知及び研修を実施する。

(3)法令等遵守

厚生労働省の情報セキュリティ対策の包括的な規程である「情報セキュリティポリシー」を遵守した取組を進める。

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第3 部門間での課題共有と連携による一体的な取組の強化に関する事項

1.医療から職業訓練・社会生活までの一貫した支援

病院、自立支援局が連携し、重度障害者に対して、医療→自立訓練・就労支援→社会生活までの円滑なサービス利用をさらに推進する。

2.先端技術を利用したリハビリテーションサービス実施のための連携

病院、自立支援局において新しいリハビリテーション技術・診断・治療技術、先端技術を利用したリハビリテーションサービスを行うため、研究所と連携し、その推進に努める。

3.情報共有と発信の強化

リハビリテーションに関する情報発信等を効率的かつ効果的に実施するため、各部門において情報発信(広報)の対象者・目的等を明確にした上で具体的な情報発信(広報)を展開する。
 また、センター各部門が有するリハビリテーションに関する情報の関係部門間での共有を推進する。

4.データの管理と解析支援、情報発信

(1)各部門は、研究所と連携し、データポリシーを策定するほか、必要に応じて事業実績のデータの解析を行い、発信する。

(2)企画・情報部は各部門の協力を得て、データの社会的共有を可能とするシステムを構築し、障害に関する情報の収集と発信に関する機能を充実させることを検討する。

5.人材育成(養成・研修)

(1)部門間の緊密な連携により人材育成を強化する。

(2)病院、研究所、自立支援局で行われている研修事業や研修生の受入れについて学院において一元管理するとともに、必要に応じ、時代の要請に見合った人材育成のあり方の検討を行う。

6.防災対策

災害時の事業継続及び被災障害者の障害別(肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、発達障害等)受入体制を構築し、被災地への専門職員の派遣等、地方自治体等の関係機関からの要請に迅速かつ的確に対応するため、大規模災害時の事業継続計画(BCP)を前提とした広域大規模災害対策をさらに検討する。(再掲:第4-4-(2)-①)

7.法令等遵守

法令遵守体制を推進し、普及啓発に努める。

8.人材育成(内部)

職員研修会開催、e-ラーニング研修を効果的に実施する。自らの専門性の向上とともに広い領域にわたった研修受講を奨励し知見を深め資質向上を図る。

9.国際協力

各部門の協力によりセンターが有する障害者のリハビリテーションに関する情報や技術を国際機関及び海外のリハビリテーション機関との連携や、海外からの視察等を通じて提供し、障害者リハビリテーションの発展に寄与する。

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第4 業務遂行能力の向上と業務運営の効率化に関する事項

1.法令等遵守の徹底

法令等遵守を徹底し、適切かつ確実な業務遂行を図るため、組織的に法令等遵守体制がさらに機能するよう徹底するとともに、業務品質の向上に努める。

(1)組織的な法令等遵守体制及び効果的な運用

適正な法令等遵守体制がさらに機能するよう徹底し、実効性のある効果的な運用を行う。

(2)業務品質の向上推進

① 業務マニュアル及び課題整理表を作成し、業務の標準化を図る。

② 業務プロセス管理を徹底するとともに、定期的な内部点検(検証)を実施し、その点検結果の分析及び過去の監査等の指導等を踏まえた改善を行う。

③ 業務処理等における過去の誤り等の事例をセンター内で共有するとともに、職員間の適切な引継と連携を行っていく。

2.事業、運営に携わる人材の計画的育成等

日常のOJTに加え、業務の専門性等に応じた勉強会や研修会等を実施し、職員の資質向上を図る。

(1)職員の研修会の実施

① 研修効果の向上を目指し、内容及び実施内容等のメニューを充実させるとともに、e-ラ-ニング研修を効果的に実施していく。

② 各職場内で受講しやすい環境づくりを行う。

③ 職務内容の教育訓練等を推進し、専門性の向上を図る。

④ 自らの専門領域はもとより、それ以外の研修受講を奨励し知見を深め資質向上を図る。

(2)知識の伝承及び職員相互の研鑽

効率的・効果的な知見・教育・技術の伝承・蓄積を行うとともに、職員の相互研鑽に資する取組を推進する。

(3)職員のワークライフバランスの推進

ワークライフバランス推進のため、年次休暇取得の促進・超過勤務の削減等に努める。

① テレワーク導入に関する検討を行う。

② 事務書類の簡素化及び決裁ルールの見直しの検討を行う。

3.効率的な業務運営体制の確立

コスト削減意識をもって効率的・効果的な業務運営に取り組み、無駄の排除に努める。さらに、厚生労働省統合ネットワークを積極的に活用し、事務の電子化を促進する。

(1)コスト削減意識の向上

各事業及び事務について、コスト削減意識をもって効率的・効果的な実施に努め、無駄の排除に努める。

(2)事務の電子化の促進

事務の電子化を促進する観点から、引き続き厚生労働省統合ネットワークシステムを有効活用し、業務効率化を推進する。

4.災害等緊急時の危機管理の充実

消防防災計画に基づく避難訓練等の実施により、職員及び利用者の防災意識の向上に努めるとともに、大規模災害等による被災障害者の受け入れや専門職の派遣等を積極的に実行する。

(1)防災意識の向上

全職員に対して研修等を通じた危機管理意識の高揚や防災意識の向上を図る。

(2)災害時の対応等

① 災害時の事業継続及び被災障害者の障害別(肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、発達障害等)受入体制を構築し、被災地への専門職員の派遣等、地方自治体等の関係機関からの要請に迅速かつ的確に対応するため、大規模災害時の事業継続計画(BCP)を前提とした広域大規模災害対策をさらに検討する。

② 福祉避難所協定等について地方自治体との情報交換等を定期的に行い、より有効に機能するよう努めるとともに、「福祉避難所開設・運営マニュアル」の見直しを行う。

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第5 歳出予算等の改善に関する事項

1.歳出予算の効率的執行等

中・長期的な視点で歳入歳出予算の適正化を図るため、歳出予算の効率的執行・歳入予算の適正計上を図り、財務内容の改善に努める。

(1)効率的な予算執行

① 予算執行実績の分析を行い、効率的な予算執行を阻害している要因を明らかにし、各年度の予算執行計画の策定に反映させる。

② 中長期的な視点に立脚し、センター事業の優先度に応じた執行計画を策定する。

③ 調達手続において、国の機関の調達方法の基本である一般競争入札における競争性の確保をさらに推進することにより、予算執行の効率化を図る。

④ 歳入について過去の実績を分析し、歳入予算を適正に計上する。

(2)効率的な施設整備

施設整備については、効率的な運営に資するものとなることや長期的な視点で計画を策定し、整備・管理を行う。

2.国有財産等の適正な管理体制の充実

所有する国有財産及び物品について、法令等に基づく手続を適確に行い、適正に管理する。

(1)管理体制の強化

国有財産、物品を適正に管理するために、事務手続、チェックリスト等を活用し、引き続き適正な管理を継続するとともに、法令の改正に合わせて適時見直しを行う。

(2)施設環境整備計画

樹木の剪定、除草等施設の環境整備計画を随時策定する。

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