補装具費支給制度における車椅子・座位保持装置支給割合の都道府県間比較について、福祉機器開発部のシロガネが紹介します。 車椅子や座位保持装置は,移動や姿勢保持に障害のある者にとって重要な用具です。当然、これらは、その住んでいる地域に関わらず,必要に応じて支給されるべきものですが、過去の報告は支給状況に地域差があることを示唆します。しかし、実際のところは不明であるので,この調査では,2010〜2019年度の10年間分の支給実績から,都道府県間の差を明確化しようとします。 政府統計窓口が公表する福祉行政報告例というデータから、当該補装具の新規支給決定件数を抽出し、都道府県ごとに集計します。車椅子、電動車椅子、座位保持装置、座位保持椅子の4種もくについて、同報告内における肢体不自由しゃすうで除して支給率としたものを、10年間分の平均ちとして求めました。 これは、集計結果を図に表したものです。積み上げ式の棒グラフになっていますが、下から、青い部分が車椅子、オレンジ色が電動車椅子、グレーが座位保持装置、黄色が座位保持椅子を表します。ご覧の通り、都道府県で、支給率にけっこうバラツキがあることがわかると思います。 この日本地図は、支給率の高低を、色の濃淡で表現したものです。各都道府県で、色の濃淡、すなわち支給率の違いというものがあるのですが、最も支給率の低い秋田県と、最も支給率の高い宮城県を比べてみると、その支給率はおよそ3倍違うということがわかりました。 本調査の限界と今後の課題です。そもそも、このような補装具を必要とする者が全国に等しく存在するとは限らず,また,今回支給率計算の分母に用いた肢体不自由しゃとされる人のすべてが,それらの補装具を必要とするわけではない点には注意が必要です。しかし,正確な情報が存在しない現状において,本調査結果は地域間の差を議論する上での参考資料となり得るものと考えています。正確な情報を把握するために,より適切な分母の値の情報が必要です。ここで紹介した調査研究のように、補装具・支援機器に関して、その制度やそういう地域特性なども踏まえた公平な支給、あるいは適正な支給、そういったようなことに向けた研究というのにも取り組んでいますということで、今回、このような内容を紹介させていただきました。以上です。 最後に、各都道府県における4種もくの詳細な数値をお示しいたします。