ボスニア・ヘルツェゴビナ国のリハビリ事情

国立伊東重度障害者センター 医務課 木村博光

 今回、JICAの要請にて、ボスニア・ヘルツェゴビナ国に出張する機会を得たので、同国のリハビリ事情について報告する。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ国は東南ヨーロッパのバルカン半島中央部に位置し、面積は約51,000uで、その広さは、関東地方に山梨県と長野県を加えたほどの広さで、国土の約46%が山脈・森林地帯である。人口は正確な統計はないが、約383万人と推計されている。民族構成はムスリム系(イスラム教徒)44%、セルビア系(セルビア正教徒)31%、クロアチア系(カトリック教徒)18%と推計されている。

 92年4月に勃発した内戦は、95年にデイトン合意で和平が成立し、終結した。その結果、セルビア系住民が主体となるスルプスカ共和国(以下RS共和国)とムスリム系とクロアチア系住民が主体となるボスニア・ヘルツェゴビナ連邦(以下BH連邦)の二つの独立体が構成された。この内戦により、社会基盤が崩壊し、約20万人の死者と約200万人の難民が発生したといわれており、また地雷等による多く障害者が存在するものと推定されている。

 以上のような背景から、我が国に対して、RS共和国内に17カ所のCBRセンターを設立するので、その機材につき無償資金協力を要請してきた。その要請に応えるべく今回調査を行った。調査した結果のうち、
1,BH連邦内の現在のCBRセンターおよびNGOの活動状況、
2,RS共和国首都のリハビリセンター病院の状況、
3,RS共和国のCBRセンター予定地の現在のリハビリ状況、
4,RS共和国の理学療法士養成校の状況、
5,その他
について、報告したい。




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