当院における災害発生時の看護婦の役割と問題
〜災害アンケート調査〜

病院 看護部 4階病棟 唐石恵子・北村奈緒子・田村玉美

1.はじめに

 災害発生時、患者の安全をいかにして確保するかは病棟に勤務する看護婦にとって大きな課題である。当院に入院中の患者は高位頚髄損傷患者や視力障害患者であり、全入院患者の98%が担送・護送患者である。当院の防災計画では、災害時患者は看護婦の指示に従うことになっている。患者の安全を守る為には、まず私たちが当院の防災対策を理解しておく必要がある。そこで災害発生に対する看護婦の意識を知るためにアンケート調査を行い、結果から災害時に発生する問題を明らかにしたいと考え研究を行った。

2.対象と方法

 2001年7月12日から7月27日に当院に勤務している看護婦・看護士87名を対象にアンケート調査(自記式法)を行った。

3.調査内容

 T.当院での勤務場所・勤務年数・住まいについて U.災害発生時に勤務していない場合の行動 V.当院の防災計画について W.災害について X.大地震時の行動について  以上T〜Xの内容を含む16項目

4.結果

@緊急時体制について:災害発生時、病院に応援に駆けつけると答えた職員の殆どが「応援病棟」に勤務病棟を答えていた。規定集には、宿舎以外の職員の駆けつけ病棟についての記載はなかった。また、召集方法についても火災のみで、地震についての記載はなかった。

A防災計画(防災訓練)について:防災の設備については、半数以上の職員が周知していた。防災訓練改善点の自由記述は、防災訓練の方法・想定・設備などに関するものであり、幹部会議事録の防災訓練の反省よりは具体的な行動に対する意見であった。

B大地震時の行動:大震災後の行動として、患者の所在確認が最も重要とする意見が多かった。

5.考察

 人間には平常の情報環境から離れた情報を受けつけにくい情報処理特性がある。また、定型化された情報や行為のパターンが日常生活にかかる情報処理の負担を軽くしている。
 看護職員の中で不安や疑問に思っている事柄の多くは、防災訓練の方法、想定、設備などに関する事であり、具体的な行動レベルの問題であった。ひとりひとりの看護婦が、災害に遭遇した時に発生しうる問題を予測し、回避できるように人間の情報処理特性を考慮した防災計画を立てる必要がある。また、ひとりでも多くの患者の安全を確保するには、病院全体として防災活動に取り組んでいく必要があると感じた。




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