国リハセンターにおける20年間のTBI入所申請者の概要

一般リハビリテーション課程 肢体不自由  
更生訓練所 仲川真理・小熊順子・後藤幸雄・轟正克・佐藤コ太郎

1.はじめに

 本稿では、当センター創設後20年の間に、外傷性脳損傷者で一般リハビリテーション課程に入所申請をした者の概要について報告する。

2.対象と方法

 対象は、昭和54年から平成11年までの間に、一般リハビリテーション課程に入所申請をした外傷性脳損傷者178名(男性155名、女性23名)である。入所申請者を入所者・非入所者・辞退者の3つに分類し、項目及び内容別に調査し分析を行った。
 調査項目は、人数・性別・受傷時年齢・申請時年齢・受傷後期間・意識障害の期間・身体障害者手帳等級(1・2級)・記憶障害の有無・対人技能等の問題の有無・WAIS-R成人知能検査(VIQ、PIQ、FIQ)の10項目である。さらに、非入所者の入所できなかった理由、辞退者の辞退の理由について調査した。

3.結果と考察

 対象者の内訳は、入所者128名、非入所者27名、辞退者23名で、それら3群を項目ごとに比較した。特筆すべき項目は以下のとおりである。受傷時年齢は、非入所者19.8歳、入所者18.1歳、辞退者15.1歳の順で、申請時年齢においても非入所者26.3歳、入所者23.7歳、辞退者23.1歳の順でいずれも非入所者の年齢が最も高かった。意識障害の期間は、非入所者44.8日、入所者36.4日、辞退者33.0日で非入所者が最も長かった。身体障害者手帳1・2級の重度者の割合は、入所者69.5%、非入所者63.0%、辞退者30.4%で、重度の割合が最も少ないのは辞退者であった。WAIS-RのIQの平均値を比較すると、非入所者の言語性IQ(VIQ)が73.2、動作性IQ(PIQ)が70.5でともに境界線級で、PIQが最も低かった。辞退者では、PIQが86.0で他2群に比し最も高く、VIQとPIQの差も1.5とわずかであった。
 非入所者群の入所できなかった内容については、治療の継続等の医学的理由が44.4%と最も多く、次いで職業準備性が低い等訓練困難と判断された者が37.0%で、集団生活困難、進路指導による方針の変更等の理由が2割を下回っていた。
 辞退者群の辞退した理由については、就職・復職が21.7%、進学・復学が17.4%、他職業訓練校入校が26.1%、施設入所が8.7%で、その他が、体調不良、交通事故、刑事事件の係争中等の理由で26.1%であった。
 過去20年間のこれらの結果を充分考慮しながら、今後の入所申請及び相談業務に活かしていきたいと考える。




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