視覚障害原因等調査から見た理療教育課程入所者の状況について

更生訓練所 指導部 指導課 菊入昭・白浜一

1.はじめに

 視覚障害を来す疾患も医学の発達により変動しており、視覚障害者のニーズも変わり、またそれを受け入れる更生施設のあり方も変化していくべきものと思われる。そこで、リハサービスの段階にある本センター理療教育課程入所者175名(平成13年8月1日現在)を対象に視覚障害原因等調査を実施した。調査内容は性別、入所時年齢、視覚障害原因疾患、視力の保有状況、障害を自覚した年齢、障害発生から入所までの期間及び経済状況等について調べ、結果をまとめた。また一部の結果については当センター病院第三機能回復訓練部が1996年に実施した全国の視覚障害者更生施設入所者の視覚障害原因等調査結果と比較した。

2.結果概要

 男女比は概ね7対1と女性が少ない。平均年齢は41.5歳で本課程の10年前(平均年齢36.7歳)との比較では約5歳年齢が高くなっており、40歳以上が全体の6割を占めている。最年少は18歳、最年長は64歳と年齢の幅は広い。眼疾患別に見ると、網膜色素変性症が23.6%、糖尿病網膜症が12.5%、緑内障が12.4%、視神経萎縮10.1%であった。網膜色素変性症と糖尿病網膜症の進行性の眼疾患が多いことがわかった。特に糖尿病網膜症は10年前(8.3%)と比較した場合、4%も増加していることがわかった。視力の保有状況について良い方の視力を見ると、光覚(+)以上が11.4%、手動弁以下が88.6%であった。1996年調査を見ると手動弁以下が67.5%で、本課程入所者が視力の保有率は高く、全盲者が少くない。視力の保有状況を上位疾患別に見ると、網膜色素変性症98.4%、視神経萎縮73.9%、糖尿病網膜症71.9%で、一般的に視力の保有状況が悪いとされる網膜色素変性症、緑内障、糖尿病網膜症者の視力が良いことがわかった。障害発症状況は先天性より中途者が多いこと。入所までの期間は網膜色素変性症と緑内障が長く、糖尿病網膜症と視神経萎縮は短いこと。入所者の2割が糖尿病網膜症で、その内医学的ケアを必要とする者が6割いること。年金等の収入がある者が6割、生活保護や家族の援助を受けている者が4割いること。以上のことから、本課程入所者において弱視者が増加傾向にあること、入所時の年齢が高くなっている一方で、糖尿病網膜症の継続した医学的管理を必要とする者も増えてきていることがわかった。




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