学科の「ひと」を紹介します

ここでは,学科のスタッフや卒業生のインタビューなど「ひと」について掲載します.

専任教官

専任教官は4名です。センター内外の多数の講師を招聘しながらカリキュラムを実施しています。専任教官はそれぞれの専門領域を中心に講義を担当しています。

講義や実習だけではなく、学生生活全体をサポートし、より充実した学科での学習をささえます。いろいろな背景を持つ学生が集まるからこその豊かさがあります。教官も含め、同じ職を志して学びあえる学科でありたいと思います。

ともに学び、仲間になりましょう!

プロフィール

下嶋 哲也

学  位:修士(文学(心理学))
資  格:言語聴覚士,認定言語聴覚士(言語発達領域),臨床発達心理士
勤務経験:都立北療育医療センター
担当科目:言語聴覚障害診断学・概論・演習,言語発達障害関連科目,小児摂食嚥下障害ほか
所属学会:日本コミュニケーション障害学会,日本臨床発達心理学会,日本言語聴覚士協会,日本LD学会ほか

小野 久里子

学  位:修士(リハビリテーション)
資  格:言語聴覚士
勤務経験:都立荏原病院,世田谷ボランティア協会デイケアセンターほか
担当科目:言語聴覚障害診断学・概論,失語症・高次脳機能障害関連科目ほか
所属学会:日本高次脳機能障害学会,日本神経心理学会,日本音声言語医学会、日本言語聴覚士協会

坂田 善政

学  位:博士(リハビリテーション科学)
資  格:言語聴覚士
勤務経験:筑波病院
担当科目:言語聴覚障害診断学・概論,言語聴覚障害演習,吃音,発声発語・嚥下障害関連科目ほか
所属学会:日本吃音・流暢性障害学会,日本コミュニケーション障害学会,日本音声言語医学会,日本言語聴覚士協会

成田 あゆみ

学  位:修士(情報学)
資  格:言語聴覚士
勤務経験:千葉市療育センターやまびこルーム、当センターリハビリテーション部
担当科目:言語聴覚障害診断学・概論,小児・成人聴覚障害関連科目ほか
所属学会:日本聴覚医学会,日本音声言語医学会、日本コミュニケーション障害学会,日本言語聴覚士協会

業績

下嶋哲也
  1. 下嶋哲也:第4章5 知的能力障害.標準言語聴覚障害学 言語発達障害学第3版,医学書院.2021
  2. 下嶋哲也:Ⅱ章 障害別アプローチ 知的能力障害.図解言語聴覚療法技術ガイド.文光堂.2022
  3. 下嶋哲也:Ⅴ章 摂食嚥下障害 小児 3.臨床実践 2)摂食訓練の実際.図解言語聴覚療法ガイド 文光堂 2022
  4. 下嶋哲也:Application of Japanese traditional expressive arts of “Kamishibai“ and “Rakugo” for improving meta-communication of SLP students,10th Asia-Pacific Conference On Speech Language Hearing,Narita(Japan), 2017
小野久里子
  1. ​​​​​第49回理学療法士・作業療法士・言語聴覚士養成施設教員等講習会(2022.8~9、リアルタイムオンライン)
  2. ​​​​​​​第1回・第2回合同臨床神経心理士講習会(2020.11、リアルタイムオンライン)
  3. 小野久里子. 第4章第2節 失語症の近縁症状. 標準言語聴覚障害学 失語症学第3版(藤田郁代、立石雅子編著). 医学書院 57-61,2021 
坂田善政
  1. ​​​​​​​​​​​​​​坂田善政: 幼・小児期の発達性吃音の治療. 標準言語聴覚障害学 発声発語障害学 第3版(藤田郁代監修, 城本修,原由紀編著), 医学書院, 278-288頁, 2021
  2. 坂田善政: 第1章 第4節 F 吃音・流暢性障害. 標準言語聴覚障害学 言語聴覚障害学概論 第2版(藤田郁代, 北義子,阿部晶子編著), 医学書院, 24-27頁, 2019
  3. 坂田善政:幼児吃音の介入研究(AMED研究報告 幼児期吃音の疫学研究・介入研究).日本吃音・流暢性障害学会第7回大会プログラム・抄録集,48-49, 2019
成田あゆみ
  1. 成田あゆみ ほか:軽中等度難聴児2症例における補聴器装用効果の検討,日本聴覚医学会,2018.
  2. 成田あゆみ ほか:就学後に難聴と診断された小学生の臨床経過の検討,日本聴覚医学会,2019.
  3. 成田あゆみ ほか:3.学会発表:乳児期の母子相互作用場面における発声行動の分析,日本コミュニケーション障害学会,2020
  4. 成田あゆみ ほか:乳児期の母子相互作用場面における話者交代の分析,日本赤ちゃん,2021.

卒業生インタビュー(小学校きこえとことばの教室)

 当学科卒業生の稲田由佳さん(36期生)へのインタビューです。進学のきっかけから現在のお仕事まで、いろいろなお話をお伺いしました。

Q1.当学科進学のきっかけは?

 教育学部出身ということもあって、先生など子どもに関わる仕事に就きたいと考えていました。そして、大学3年の時に祖母が脳梗塞から失語症になったことで言語聴覚士(以下、ST)という職業を知り、思い切って先生からSTに進路変更しました。
 進学するにあたり、学費のこともあって国立でと思っていました。実際には何校か説明会に参加してみたのですが、国リハの先輩や先生方の温かさや熱意に強く惹かれ、ここでぜひ学びたい、という思いに変わりました。

Q2.卒後の就職についてどのようにお考えでしたか?

 自分の興味がこどもの教育分野であった一方、祖母の病気をきっかけにこの仕事に興味をもったことから、在学中は小児の障害にも成人の障害にも興味がありました。実習の時期には小児療育センターと、成人回復期病棟とをそれぞれ経験させていただきました。
 就職を決める時期まで迷っていましたが、たまたま都内のことばの教室の産育休代替職員のお話を頂きました。任用期間は限られているものの、その間はフルタイム勤務で福利厚生も整っていました。期限まで働いてみて、その先はまた考えようという気持ちで受けましたが、就職してみるとこの仕事が楽しく、働きながら教員採用試験を受けて正規職員となり、気付けば8年目になりました。
 国リハでは求人がたくさん来るため、就職に困るということはまずないと思います。自分の興味や性格を考えてどんな職場なら向いていそうか、卒業後はどんな土地で働いて過ごすか、悩みは誰しも尽きません。学院の先生方には、そのような悩みを一つ一つ丁寧に汲み取って親身に相談に乗ってくださったことに感謝しています。

Q3.お仕事内容を教えてくださいますか?

 都内の公立小学校の教員として、難聴・言語障害通級指導学級(通称:きこえの教室、ことばの教室)の担任をしています。難聴、構音障害、吃音、言語発達の遅れ、読み書き困難など言語面に何らかの課題をもつ児童を対象に一対一の個別指導を行う教室です。
 通常の学級での学習活動におおむね参加でき、一部特別な支援を必要とする児童が、一部クラスの授業抜けをして個別の指導を行う制度を「通級による指導」と言います。普段は自分のクラスでほとんどの授業を受けていて、週に何時間かだけ最寄りの「きこえ・ことばの教室」の設置校に通って指導を受けます。そのため、私のいる小学校には、地域周辺の小学校からもたくさんの子どもたちが、週に一回程度代わる代わるやってきます。

Q4.ST学科での学びを振り返ってみてどうですか?

 就職したての頃を振り返ると、国リハで学んだことで「自分は出来る」、という自信をもっていたように思います。それが最初の失敗で、専門的な知識をもっていても、新人の私には適切な指導・支援ができませんでした。机上で学んだことはごく一般的な事柄で、実際に目の前の子供を見るには、これまでの成長の様子や、家庭・学校環境、友達関係など様々なことを考えることが必要で、一人として同じ子はいないと実感できるようになったのはつい最近です。
 今思うと、学院で講義をしてくださったどの先生も、「目の前の子供をしっかり見ること」と仰っていました。もちろん、ある程度の勉強は必要なので、当時の講義資料を振り返ったり、新しく学んだりすることもあります。成長の種を沢山蒔いてもらいました。
 働く中で他にもいろいろと失敗はありますが、国リハで出会った同期や先生方とは今でも連絡を取り合うことがあります。自分に今すぐできないことがあっても、頼れる仲間に出会えたことは何よりの宝物です。

Q5.きこえとことばの教室の特徴は何ですか?

 「きこえとことばの教室」の先生という仕事は、子どもたちにとってはクラスの担任の先生や医療機関のSTとも少し離れた場所にいる、ちょっと特別な存在です。子供たちは私達教員の元にはいつもありのままで飛び込んできてくれるのでとてもやりがいがあります。
 クラスの中ではなかなか支援が届きにくい子に対して、同じ学校教員という立場だからこそすぐに手を差し伸べることができます。どんな時でも温かく、熱く、子供や保護者に向き合う同僚や先輩教員を、私は何人も知っています。
 現行の制度では、きこえの教室・ことばの教室の教員として学校現場で働くには、教員免許状が必要です。免許状を持っている方は、就職先の選択肢の一つとして考えていただけたら嬉しいですね。

Q6.どんな人がSTの仕事に向いていると思いますか?

 学校で働くSTに限りませんが、子供の成長に携わる支援者として、何でも楽しむことが出来る人であることが望ましいと思います。季節の移り変わり、人の心の機微など、自分の五感の精度が上がると日々面白い発見が沢山あります。人生の大事な一部に関わる仕事だからこそ、楽しみを見つけて伝えられる、共有できる、そんなコミュニケーションが取れる大人でありたいと私自身はいつも心掛けています。

Q7.最後に付け加えることがあればお願いします。

 もし身近に小さなお子さんがいらっしゃれば、一緒に遊んだり、観察したりするか、たまにはTVやYouTubeなどで子供の流行を追ってみるというのも、子供の動きや性質を理解する上で役に立つかもしれません。

どうもありがとうございました。

 

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卒業生在校時インタビュー

大学を卒業したばかりで入学された在校生の方にインタビューをしました.Q&Aでどうぞ.

Q 言語聴覚士を目指した経緯は?
A 大学1年生の時に「心理学を生かせる国家資格は」と教授に相談したところ,言語聴覚士を薦められたのがきっかけです.本格的に考えたのは,初めて海外に行ったときに言葉が通じなくて困った経験があってからですね.

Q 国リハにした理由は?
A 大学のゼミの教授だけでなく,母(看護師)からも勧められました.金銭面で学費が他校に比べ低めなのはやはり魅力でした.

Q 就職活動は?
A しませんでした(笑).というか就活したくなくて進学を選んだフシもあります(笑)

Q 学科に入った印象は?(入学後2ヶ月)
A やっぱり大変ですね.でも,入って分かる魅力もいっぱいあって楽しいです.国家試験対策じゃなさそうな授業があるのが面白く,現場で活きる学びを得ていると思います.

Q 最後に,どんなSTになりたいですか?
A 患者さんが幸せになるための手助けをしたいです.大学で学んだ心理学の知識やアプローチを現場で活かせたらいいなと思っています.

ありがとうございました.

中村先生を偲ぶ会
(2017年3月)

 昭和46年の学科設立(前身含)から昨年に至るまで,当学科の教育に尽力された中村公枝先生が,昨年11月に急逝されました.このことは言語聴覚士協会の広報誌にも掲載されましたので,御存知の方もおいでかと思います.そして,中村先生を偲ぶ会が,2017年3月25日(土)学院にて行われました.当日は全国から250人以上の方がお集まりになりました.外部からご参加いただいた方,昭和46年卒の方から今年の卒業生までが一同に会し,心を1つにして先生を偲ぶことができました.

補足説明

 中村先生の臨床は,こどもの心とセラピストの心が通い合う臨床でした.臨床にとって欠かせない,しかし技術として伝えるには難しいことを,先生は長年伝え続けてこられました.亡くなる8年前からは「臨床の知を考える会」を主宰され,ご自身の臨床のビデオを元に,難聴を持つ赤ちゃんあるいはこどもとの関係性の構築,言語発達,母子関係,といったものを一体化しながら臨床をされていることを,丁寧に噛み砕いて説明してくださいました.

 中村先生が目指し実践された臨床は,難聴児にとどまらず,どのような障害があろうとも本質的に重要な点を踏まえています.それは,人間と人間の関わりの本質的な理解に基づく臨床です.教えを受け,共鳴した言語聴覚士が数多くいたことは,言語聴覚士の「希望」でもあります.

卒業生在校時インタビュー

 最近は社会人経験を経て入学される方が増えてきています.平成29年度に入学された神山智子さん(社会人経験者)に,インタビューをしましたのでどうぞお読み下さい.


Q どのような社会人経験があるのですか?
A 肢体不自由の特別支援学校で教諭をしていました.中学部で日常生活支援や音楽を担当していました.日々生徒と過ごしていて,ゆっくり時間をかけながらその子なりに成長していく姿を見ていました.

Q 学科に入学して思ったことは?
A 入学してまだ2ヶ月ですが,仕事をしていた頃の疑問が解けたり,意識していなかったことに気がつくようになったりするので,授業はとても楽しいです.働いている時は何かを調べる時間すら取れなかったので,今勉強に専念できるのはとてもうれしいですね.学科の印象は,まずコミュニケーションを大事にしているなと思います.クラスメートとディスカッションしたり,教えあったりすることがとても新鮮です.

Q 卒後の計画がありますか?
A そもそも休職制度を利用しての入学なので,また学校に戻ります.そこでより専門性の高い支援をしたいです.学校現場には教育のプロはたくさんいますが,医療のプロはいません.その中で,医療ニードのある子の支援方針で悩む先生も多いのが実情です(私もその一人でした).悩んでいる先生に何かしらのアドバイスが出来るようになればいいなと.

Q 学校現場の先生方にST学科の学生として一言お願いします.
A 明日の準備,来週の準備,行事の準備,成績評価,学内の係,会議・・・現場は本当に多忙ですよね.この学院に入って,知識をどんどん得て,学院の先生方やクラスメートと一緒に考えを深めていける時間は本当に貴重なものだと,入って間もないですが痛感しています.多くの先生方にもその良さを知っていただきたいですね.

卒業生インタビュー(その1 小児領域)

神奈川県立こども医療センターに勤務する水野友貴さん(平成24年卒)に聞きました.


Q1 勤務先のことについて簡単に教えてください。
A1 病院の常勤職員です。「こども」ならどんな障害でも対象にしているので、発音の矯正といっても医療機関でなければ治療困難と思われる手術を必要とするケースや、重度重複障害(難聴と発達障害を併せ持つ、など)のお子さんがいらっしゃるのが特徴的かもしれません。施設には重度心身障害者施設や肢体不自由児施設,また特別支援学校も一緒の敷地なので、本当にいろいろなお子さんがお見えになります。外来の方が中心ですが、一部入院の患者さんもいらっしゃいます。私自身はアセスメント(能力評価)よりも支援・指導の仕事の方が多いですね。

Q2 具体的にはどんな業務内容なのですか?
A2 評価としては聴力検査をはじめとして新生児聴覚スクリーニング検査として0歳のお子さんにAABRなどの検査を行います。また、言語発達・知能検査や構音・鼻咽腔閉鎖機能検査など、お子さんのことばにかかわる様々な検査を行ったうえで,それぞれに合わせて支援指導を行っています。

Q3 お仕事のやりがいはどういうところですか?
A3 自分も人間的に成長できるところがあるように思います。病院なのでお見送り(患者さんが亡くなられるということ)をすることもあるのですが,そんなとき「生きることってなんだろう」「人間ってなんだろう」という問題に突き当たることもあります。ただ,それを考えることが臨床でも大事なのかなと思っています。一方では,患者さんやご家族の笑顔を見られたときは、やっていてよかったなと思います。あとは素直に、お子さんはとてもかわいいものですね。お子さんと会うことで私も元気をもらっています。

Q4 これから言語聴覚士を目指す方に一言お願いします。
A4 STは、コミュニケーションが得意な人がその能力を生かすことのできる職業のように思います。人と話すことや関わることが好きで、かつ得意な人だとより自分らしい「良さ」をいかせるのではないでしょうか。逆にコミュニケーションが苦手な人だと、そのことで苦労することもあるかもしれませんね。

Q5 学科で過ごした2年間を振り返るとどうですか?
A5 濃密な二年間でした。机上の勉強だけでなく、人と人とのコミュニケーションについて考え、気持ちを通い合わせるということについて考えを深められる2年間だったので、そういうところが学院の特色なのかもしれませんね。

Q6 小児を対象とする言語聴覚士にはどんな人が向いていると思いますか?
A6 「こどもが好き」、というのが第一ではないでしょうか?でも,ただ「好き」というだけではダメで、お子さん自身の立場に立って、その子の目線でものを感じ、その子の思考を想像しながら考えることも必要だと思います。子どもと一緒に楽しみ、学ぶことができる人が小児対象の言語聴覚士に向いていると思います。施設の特性もあるかもしれませんが、一人の患者さんに関わる期間が長いことがあるので、そういう意味でも、長く育ちを見守ることができることを喜べる人がいいのではないでしょうか。

卒業生インタビュー (その2 成人領域:神経難病)

東埼玉病院に勤務する石光暁子さん(平成24年卒)に聞きました.


Q1 勤務先のことについて簡単に教えて下さい。
A1 常勤職員として所属していて、一般病棟と回復期病棟に入っています。一般病棟では神経難病の方が多く、若ければ10代前半から、70歳以上の方までご利用になっています。回復期病棟に入院されているのは主として脳血管障害の方で、頭部外傷の方がときおり入ってこられます。

Q2 お仕事の内容について教えてください。
A2 内容自体は一般病棟と回復期病棟でそう大きくは変わらないのですが、入院される方の原疾患が違うので配慮する点が違います。また、病名の告知やご家族の認識なども違うので、患者様に応じて対応することが求められますね。一般病棟であれば病気の進行段階に応じて評価を行い、例えば病気の認識があまりない方の場合にはご家族に配慮点をお話したり、記憶の障害のある方にはメモの利用を勧めるなどしています。回復期病棟では他部門と連携しながら退院後の生活に向けて機能的な訓練を行っています。復帰される先も個々によって違うので、自ずと目標も違ってくることになります。

Q3 お仕事のやりがいをどこに感じますか?
A3 私は養成校に入るきっかけの一つが神経難病への関心であったので、国内でも数の少ない神経難病のリハに取り組んでいる病院で仕事が出来るところは喜びを感じるところです。患者様やご家族からお礼を言われたときなどは、仕事ではありますがやはりうれしいですね。また、神経難病は基本的に症状が進行していく病気です。出来ないことが増えていく中で、患者様ご自身が望んでいたこと、例えば「娘の漬けた梅干が食べたい」という患者様の気持ちを可能な形で実現できたときはやはりうれしいですし、お母さんに遠慮して食形態の変更を言えなかったお子さんの嚥下機能を理解してもらうよう説明して、その後適切な食形態になりお子さんが安心して食べられるようになったときなどは、医療従事者として誠実に説明することの大事さも感じます。

Q4 これから言語聴覚士を目指す方に一言お願いします。
A4 仕事を通して、責任の重さは日々感じています。だからこそ機能が改善して退院していかれる方を見て喜ぶことが出来るのだと思います。QOL(生活の質)に実際に関わって実感できるということは、言語聴覚士という仕事のいいところだと思います。

Q5 この学科の2年間はどうでしたか?
A5 一生で一番勉強しました(笑)。覚えなければいけないことは山ほどありますから。講義などでも新しく知ることや目からウロコ的なことがたくさんあるので、勉強するほど面白くなると思います。濃い2年なので、職場に入ってからも相談できる友達がきっとできると思います。

Q6 STにはどんな人が向いていると思いますか?
A6 まず人と話すこと自体が好きじゃないと得意にはならないと思います。それに、「人と話すことが好き」という以前に、「”ひと”に興味を持っている」ということが大事じゃないでしょうか。患者様の中には、悲観的になってリハを拒否される方もいます。そういう方と心と心の距離を縮めていくこともリハの一つだと思います。それをするには、たとえ嫌がられたとしても、その人の気持ちに寄り沿って感じる力が必要ではないかと思います。